映画感想:「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」 エロさとグロさと怖さを備えたサスペンス。
映画『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』予告編 - YouTube
グロイ、エロイ、怖いを揃えたエロティック・サスペンス。
ストーリー性がしっかりあって、その中にエロさを入れて楽しませてくれる映画です。
おススメ度:★★★★★
目次
基本情報
2010年/日本
監督:石井隆
上映時間:2時間25分
レイティング:R-18
あらすじ
スナックで働く連、桃、あゆみの三人は、店を荒らす男を殺し、富士の樹海にその死体を捨てた。
しかし、その時に桃は、ロレックスの時計を一緒に捨ててしまう。
何でも屋を営む紅次郎は、連の依頼で、その富時計を探す。
次郎は何とか見つけ出すも、そこは強烈な異臭を放っていた。
何か怪しいと思った、次郎は警察の「安斎」という女に相談する。
その頃、スナックの三人は、老人を保険金を掛けて殺し、マンションを建設する計画を立てていた。
そして、連は失踪した「多絵」という女の捜索を、新たに次郎に依頼する。
しかし、そこから、連の本当の狙いが明らかになる。次郎はその思惑に巻き込まれていく.......。
感想
大人の恋愛映画に定評がある石井隆監督の「ネオ・ノワール」です。
ストーリーがしっかりあるサスペンスです。その中に、エロさとグロさ、女の醜さを兼ね備えているので、ちゃんと楽しませてくれます。
園子温監督の「冷たい熱帯魚」や、壇蜜の「甘い鞭」に匹敵する、エロティック・バイオレンスです。
これと互角に渡り合える作品は出てこないだろうな~と思っていましたが、まさかこんな素晴らしい作品があったとは......。凄く嬉しい!
サスペンスが好きな人、エロティックな映画が好きな人には、超おススメです。
星はもちろん5つです!
キャストがスゴイ
まず、この映画はキャストがスゴイです。
主演は竹中直人さんです。ルックスと声が、大人の映画にすご~く合っています。
「甘い鞭」にも出ていましたが、今回はサディストの役ではなく、あくまで普通の男の役です。依頼人の頼みに誠実に応えようとする次郎も、また良いです。
お話のカギになる連には、佐藤寛子という女性が演じています。この人がまぁエロイです。
演技はそこそこですが、雰囲気と身体がとにかく素晴らしいです。過去に闇を抱え、現在も男に苦しめられる可哀想な女という設定ですが、よく合っていました。
彼女が脱ぐシーンは大迫力です。「中途半端なエロなら要らねぇ!」という監督の意気込みを感じます。
「エロを観たいならAVでも観てろ!」という自称映画好きさんもいますが、それは間違いです。
映画の中に、エロさがあるのが良いんです。本作のようなサスペンスには、なおさら、こういう人がいると映画全体が良くなります。
そして!大竹しのぶにビックリ。
あまり役者としては知らなかったのですが、醜い女の役にガッチリハマってます。
死体を樹海に捨てる時の「鬼はそと~」と叫んだり、最後のシーンで連に話し掛ける時の騒ぎ方とか、計算高いそうな感じがプンプンしてきます。
でも、コレを自然に出せるのは、他に思い当たらないなぁ.......。僕が思いつく歯に出は、彼女だけです。
ただの「さんまの元嫁」ではありません。役者としての実力を思い知りました。
エロさだけじゃない!意外性を持たせたストーリーが面白い。
んで、この映画はストーリーもちゃんとしています。決して、佐藤寛子のヌードだけがウリのエロ映画ではありません。
あらすじにちょっと触れます。
連は、可愛くてスタイルも良く、ちょっと大人し目の性格で、スナックでも人気の女でした。
しかし、そのスナックに勤める3人は、保険金を掛けて人を殺すことで収入を得ていました。
ある日、態度の悪い客を、我慢できずに殺害。その死体を、富士の樹海に捨てます。そこで、大事なロレックスの時計を一緒に捨ててしまいます。
そこで連は、代行屋の次郎に、時計の捜索を依頼します。
次郎は時計を探し出し、連に渡します。
そこで、次郎を信じた連は、新たに「多絵」という女の捜索を依頼します。
が、連の悲惨な過去が明らかになります。
連に同情した次郎と、次郎を理解者だと信じた連は、愛し合うようになります。
が!それまで気弱だった連が、醜くて恐ろしい本性を露わにしてくるのです.......。
いやいや、とっても意外ですね......。
最初はちょっと大人しいかなと思える女が、ジワジワとその本性を出して、周りの人を追い詰めていくって、余計に怖いです。
次郎と連は、お互に愛し合うようになるんですが.......。コレも、連の計算だったのです
全ては自分のため.......。悲惨な過去を全て清算して、新たな人生を歩むため.......。
その辺の、連の本性を明かし方とか、ストーリーの中でのエロの見せ方、タイミングとか、とっても上手いです。
「ただ女の裸が良かっただけだろ」と言う人は、まったく分かってませんね。
そういう人こそ、映画の中でのエロの役割を知りましょう。
女性が意外な本性を明らかにしてくる映画って、けっこうあると思うんですけど、その中でも、本作はトップに入る出来でしょう。
「ゴーンガール」とか、「PET 檻の中の乙女」など、徐々に女が力を発揮していく物語は、見ごたえがありますね。じわじわ~っと怖さを増幅させ、最後は意外は結末で閉めてくれますよ。
ちなみに「PET」は、世評は悪いですが隠れた傑作です。本作が気に入ったら、ぜひ観てみましょう。
「冷たい熱帯魚」との比較
この手の作品だと、園子温監督の「冷たい熱帯魚」と比較されそうですね。
なので、僕なりの見解を述べておきます。グロさ、エロさ、怖さの三つの視点で、この2作を比べてみましょう。
まず、グロさ。コレは、冷たい熱帯魚の勝ち~。
村田が凶変してから、二度の殺人を起こしますが、その時の死体のバラして、捨てる工程が凄まじくショッキングです。「人間の、鮟肝」なんて、内臓のパーツが露わになりますから.....。
一方、本作も冒頭で分解シーンがあるモノの、それ以外にはありません。内容も熱帯魚にはちょっと劣るかな....って所です。
次に、エロさ。これは、本作の勝ち~。
本作は、主演の佐藤寛子がとにかくエロ過ぎ。身体だけでは無く、過去に闇に悩む姿、それを払拭するために次郎と抱き合うシーン、全てがパーフェクト!
一方、「冷たい熱帯魚」でも、絡みのシーンもヌードもあるんです。
黒沢あすかのヌードも、神楽坂恵のシャワーシーンも、確かにエロイ!が、やはり佐藤寛子に一歩及ばず。神楽坂恵がフルで脱いで絡みを見せれば、同点でしたね~。惜しい!
そして、怖さ。コレは引き分け。
本作は主役の連が、段々と本当の姿を見せてきます。気弱な彼女が、最後には......になるのも、怖さの見せ方として優秀です。
熱帯魚は、村田が一時を境にキレます。それからはキレっぱなしで、社本を殺しに巻き込んでいきます。面白いおじさんが殺人犯に変わるのが、笑えるほど怖いです。
と、いう事で、この勝負、引き分け~!
どちらも、非常によく作られた作品です。
冒頭でも書きましたが、「冷たい熱帯魚」に並ぶ作品が出て来るとは思ってなかったので、嬉しいです。
ぜひ、刺激の強さを楽しんでください。
アマゾンプライムビデオで視聴できます。