ぼっちですが何か?

とあるぼっちの生活記録

卒業証書と新緑と金髪美女(軽くエッセイ)

超田舎の大学。県庁所在地のターミナル駅から二駅で山に入り、最寄り駅に到着。周りにはファミリーマートと何軒かのラーメン屋だけ。坂道を上って、やっと大学に着いた。

 

大学生活と言えば「キャンパスライフ」と呼ばれる華やかなものを思い浮かべるが、そんなことはここでは出来ない。

 

そんな訳で、僕はここが大嫌いだった。今でも、嫌いだ。

 

緑が綺麗だな、と久々に来て思った。五月の微妙な暑さも、あの土地ならではだ。微妙に湿気を帯びた暑さ。

 

教務課へ行く。今回来たのは、卒業証書をもらう為。僕は、もう学生ではないのだ。卒業式には出席していない。

 

行くと、そこには「待ってました」と言いたげなおじさんが二人。

「なおっちさん(仮称)ですね?」

「はい」

 

僕は事前に連絡を入れていた。凄く丁寧な対応でビックリ。

「中の書類をご確認ください」

 

言われた通り、中身を確認すると、

 

・同窓会の書類

・卒業証書(日本語・英語)

・成績証明書

・卒業証明書

 

が入っていた。同窓会の書類と言うのは、なぜ付いてくるのだろうか?一生、こことは関わる予定は無いからだ。僕にとっては、迷惑。

 

おじさんたちに感謝して部屋を出る。もう、見ることも無い顔だ。初めて見た顔でもあったが。

 

軽くベンチで休憩。駅で買った炭酸が抜けきったコーラを飲んだ。まずい。

そして、楽しそうに騒ぎながら歩いて行く者、一人で黙々と歩く人、様々な「学生」が僕の前を通り過ぎた。かばんには卒業証書。そうなんだ、僕は彼らとは違うんだ。もう、卒業したんだ、という現実が襲ってきた。残酷で生々しくて、何とも寂しい現実だ。

 

大学の建物と緑が綺麗だ。それくらいしかないこの大学の写真を何枚か納めて、駅に向かう。通り過ぎる人々。彼らを観る事はもうないのか。もう一回ぐらい会っても良いような気がするが、そもそも大体の人なんてそんなものなのだ。

 

駅に着くと、電車を待つ人々。見たことのある教員がいた。

そして、ベンチには金髪のショートカットで長身の女が座っていた。他の女の子と一緒に居たら、まず目立つだろう。凄く良い匂いがした。

 

ここで思ったのだが、良い香りの時は「匂い」と書くが、嫌な香りの時は「臭い」表記するのはなぜだろう?そんな言葉はこの「におい」くらいではないだろうか?

 

彼女は電車が着くと、どこかに消えてしまった。僕の前を通り過ぎる時も、シンプルな石鹸の良い「におい」を漂わせていた。あの人は何と言う名前で、どんな人なのか?それも、二度と分かる事はない。

 

卒業して二カ月。僕は、やっと卒業した気がした。

来ようと思えばいつでも来れるが、二度と来ることは無いだろう。嫌いだったはずの場所が、今回だけは懐かしく感じたのは、そうだと分かっていたからなのだろうか?わかる時は来るのか?

 

帰りにスーパーに寄った。安い惣菜とビールで「卒業祝い」をするためだ。

デパートの地下一階。鮮魚売り場で寿司が半額になっていた。僕は定価680円の寿司とアナゴの押し寿司とキリンビールを買って帰った。

 

アナゴ、美味い。ビールに合う。自宅で料亭気分。我ながら、見事な卒業祝いが出来た。

 

おしまい。