ニートの平日

地方国立大卒ニートの生活記録。「え、ニートに平日も休日もないだろ....」という下らない日記です。

映画感想:「海よりもまだ深く」 良い大人になれない男の姿に感動する。

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映画『海よりもまだ深く』予告編 - YouTubeから

 

万引き家族」でカンヌを取った是枝監督の、別れた妻と子供に未練がある男の人生を描いたヒューマンドラマです。

 

別れた妻と子供のことが好きで、どうにかまた一緒に暮らしたい男が、ダメながらも懸命に生きる姿に笑えたり共感できる作品です。

 

 目次

 

 

基本情報

監督:是枝裕和

キャスト:阿部寛真木よう子樹木希林池松壮亮リリーフランキー中村ゆり、他

 

 

あらすじ

探偵事務所で働きながら、作家としても活動する篠田良多。

15年前、一度だけ小説で賞を取っただけで、その後の作品はさっぱり売れていない。

その状況を受け入れられず、現在でも探偵の仕事は「小説のため」としている。

収入も多い訳では無く、ギャンブルに明け暮れる日々を送っている。

 

かつては結婚もして、妻と子供を持ったが、今は離婚している。息子のことが忘れられず、今でも復縁を願っている。

が、元妻にはお金持ちの彼氏がいて、どうもその願いは叶いそうもない.........。

 

 

感想

海街diary」、「そして父になる」、「万引き家族」などの是枝氏のヒューマンドラマ。

 

基本的に、こういう映画って、あんまり見ないんですよねぇ。

淡々と日常を描きながら、感動を誘うのは良いんです。が、非日常や人間の闇を覗きたい僕にとっては、それは少しばかり苦痛なわけです。

 

本作も、映画の調子は基本的に一定で、特に大きな波とか急展開はありません。もちろん、誰かが急に惨殺されたりとかもありません。

しかし、本作は十分に楽しかったですよ。その理由をちょっと説明します。

 

キャストが良い。

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本作はキャストがすごく良いです。

 

だらしなのない男を、阿部寛が演じます。色黒で悪顔な彼は似合います。良多さんのダメ男ぶりが余計に引き立ちます。

 

また、別れた妻役には真木よう子です。そこそこ綺麗で、そこそこクセのある感じで良いですね。「別れた妻」という設定にも合っています。

 

そして、是枝作品には常連の樹木希林さん。

彼女は「演じる」というよりは、「素」ですよね。すご~く自然ながら、しっかり味を出してくれます。

どうやったら、こんなに出来るんだろ?人生経験ですかね。いずれ、これは他の役者さんじゃ真似できないですよ。

 

主人公のクズっぷりが良い。

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主人公の良多は、妻と離婚し、息子とも別れて暮らしています。未練があり、今でも彼女と子供が気になって仕方がありません。

 

一方で、いつまでも小説家として成功する夢を捨てきれません。ギャンブルにハマり、探偵の仕事もテキトーという感じで、調査結果を無かった事にして料金を上乗せさせたり、高校生を不倫で脅してお金を取ったりと、良い大人には見えません。

 

そんな彼は、元妻と子供との復縁を願っています。そのせいで、お金持ちの男と妻が付き合っている事を気にしています。

ダメ男のくせに、息子の野球をコソコソ見に行ったり、元妻の彼氏がどういう男なのかを細かく調べている様子にも笑えます。

 

「だったら、もう少ししっかりしろ」とも思いますよね。でも、出来ないんですよねぇ。

 

映画の中だと、「家庭に向いていない」という事になっています。確かに、世の中には、そういう男が多いです。子供の見本になったりするのは無理だけど、やたらと愛だけは強い、みたいな。

何で、こんなに面倒くさいんだろ?とにかく人間て難しいっすね。良多さんを見ていると、そう思います。

 

そう考えると、彼を「ダメ男」と簡単に切り捨てるのも、抵抗がありますね。どう表現したら良いのでしょうか?

 

名言に共感

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この映画には名言が多く出てきます。どれも共感出来るモノばかりです。

 

その中でも、「そんなに簡単になりたい大人になれると思ったら大間違いだぞ」という言葉には、すごく考えさせられます。不倫をしていた男子高生に言ったのですが、なかなか深い言葉です。

 

書いている僕自身にも、なりたい大人像というのがあります(ありました)。割とデカい会社に入って、東京でそこそこ良い生活して、みたいな。

 

そういう大人にもいっぱい出会って来ました。その辺の大人の様子を覗けば分かると思いますが、世の中は、そんな奴が多いです。

 

嫁の稼ぎで生活して高校生相手に暇つぶしをしている人、良多みたいにつまらない人生をギャンブルで誤魔化そうとしている者、モテないのを理由に可愛い子をイジメるブスなどなど......。その形は様々です。

 

大人って、自分がとっても醜い生き物のクセに、子供たちの前では理想の人間を演じます。学校の先生でも「いじめはダメ」とか言いながら、職員室で弱い先生に嫌がらせをしています(僕の通っていた中学ではありました)。

 

でも、そう簡単には”理想の大人”になれないんですよね。二十数年生きていると、大人って汚いと思う一方で、クズになってしまう気持ちも分かってしまいます。

 

人生には色々な壁があるし、色々寄り道したり、あるいは悪い事に手を染めたり、大人になると色々あるのでしょう。良多を見ていると、余計にそう思います。

 

でも、このシーンで面白いのは良多の言葉だけでなはく、この男子高生が不倫してるくせに偉そうに「あんたらみたいな大人にだけはなりたくない」と言っている所です。

 

おそらく、世の中の子供たちは、「お前みたいな高校生にはなりたくない」と思っているだろうよ。高校生なら、もうちょいまともな恋愛しろよって。

 

要は、人間って年を取ると、それなりに汚く染まっていくものなんですね。青春真っただ中の高校生も、小学生からすれば汚く映っているのでしょうか?コレはガキの時に考えたこと無かったな......。どうなんだろ.....。

 

 

アマゾンプライムビデオで視聴できます。

 

 

 

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