読書感想「オウムと死刑」 事件は終わってない。
こんちわ。コロナ禍でも無職なので、けっこう本とか読んでます。特に宗教とか哲学とかは、自然科学が発達する前から存在していて、今でも残っているので、ここに人間社会の大事な何かがあるのかもしれないですね。自然科学には無い答えを出してくれるかもしれないです。
最近読んだのはこの辺です.....。入門書を3冊ほど読むと、基本的な知識は大体は身に付きます..。
こちらは立ち読みですが面白かったです。
それで、ふと目に付いたのでこういう本を読みました。死刑になって二年経ちましたねぇ...。「オウムなんて死刑だ」と、その時は思っていましたが....。当時の世論もそんな感じでしたね。
んで、実際に読んでみると、けっこう色々と考えさせられる内容です。
何で考えさせられるかと言うと、地下鉄サリン事件の実態や、教祖麻原と信者たちの精神状態が、よく分からないからです。教祖の麻原は精神耗弱だったかもしれないし、信者たちはマインドコントロールされていたかもしれない、また、麻原は直接は殺人に手を下していない、と....。しかも幹部でキーパーソンである村井は死んでしまいました。
幹部だった村井秀夫は殺されてしまったから、彼から話は聴けません。地下鉄サリン事件の前に、麻原はサリンを廃棄するように言っていたようですが、実際には保存されていた。それは誰が指示したのか、また、地下鉄にサリンを撒く計画を出したのは誰なのか、ハッキリしていないのです...。
まだ必ずしも明らかではない事柄が多い中、彼らを死刑にしていまうのは、「平成の事件は平成のうちに」と、臭い物に蓋をするようなものなのでは、と本書には書いてあるのですが、本当にその通りだなと。僕自身は死刑反対では無いのですが、これには賛同します。全て明らかになったのなら、死刑は仕方が無いかな、とは思いますけどね...。
殺して終わり、というのではなく、社会はこの件に関して、忘れないという選択も取れますよね。じゃないと、彼らのような人間たちが出て来た時に、そうすれば良いのか分からないでしょ。死刑にして終わらせる、というのは、社会は進歩しないですよね。
残念ながら本書の中で、僕の大好きな村上春樹先生が死刑執行に関して寄せた記事に対して、かなり痛烈に悪く書かれていました。 僕にとっては非常に残念でしたが、読めば確かになと。ムラカミ先生はフィクション作家なので、その要素がどうしても入ってしまうのは仕方が無いですが。いずれ、フィクションとノンフィクションの区別は最低限知るべきですね。
巻末にはオウム真理教と、教団が関与した事件の概要について大まかな流れが書いてあるのですが分かりやすいです。