ニートの平日

地方国立大卒ニートの生活記録。「え、ニートに平日も休日もないだろ....」という下らない日記です。

『A3』感想 真実が明らかにならないままオウムは終わってしまった。

この前から哲学とか宗教とかの本を読んでいました。

前はこんな本を図書館から借りてたんですが...。

 

naocchi3.hatenablog.com

 

んで、オウム事件に詳しい、ノンフィクション作家の森達也の、こんな本を読みました。

アマゾンリンクが無いので、代わりに映画版の方を貼っておきます。

A

A

  • 発売日: 2020/05/06
  • メディア: Prime Video
 

 

本書『A3』は、リンクの映画『A』および『A2』の続きです。

「A」は「オウム」のA、そして「麻原」のAです。つまりは、オウム真理教と、彼らが起こした事件について、そして彼らの裁判について書かれた本となっています。

 

2018年にオウムの幹部や事件の実行犯など、13人が死刑になってしまいました。これで一連のオウム事件が終わったと、安心した人たちも居たでしょう。

僕も彼らの死刑には賛成でした。いったい何時まで税金で彼らを食わせるんだと思ったほどです。

 

でも、オウムおよび彼らが起こした事件については分かっていない事も多く、ゆえに裁判の進め方も難しいという事実があります。教団幹部の村井秀夫は逮捕される前に、地下鉄サリン事件の後に殺害されました。また地下鉄サリン事件を麻原が指示したのか、誰が指示したのか、必ずしも明らかでは無いです。また、麻原は一連の事件について、直接は手を下してはいないと。

さらに、麻原は一審の途中で精神状態が悪化し、証言が出来なくなりました。彼から話を聴くことが難しくなると、裁判の進行にも困難が生じます。

しかし、そんな中でも麻原の裁判は進み、一審で死刑判決が下されます。控訴は認められず、一審の死刑が確定してしまいます。本書には、そんな麻原の裁判の問題点について多くを割いて、詳しく書いています。麻原の訴訟能力(裁判を進める能力)について問題があると。

 

読んでみると、麻原やオウム幹部の死刑に対して、やはり尚早であると思わざるを得ないです。村井が既に死んでいること、地下鉄サリン事件は誰の指示だったのか分からない(麻原は事件前にサリンを破棄するように部下に指示している)こと、麻原が裁判の途中で精神を崩していること、などを考えると、死刑は待った方が良いんじゃないかと。やはり裁判の進め方には問題がありますよね。麻原は糞尿を漏らすほど精神が崩れているのに、それを正常と判断して、死刑にして控訴まで棄却するんだから。

 

読み進めていくと、教団内での麻原の権力が果たして絶対的と言えるほどだったのか、分からなくなります。麻原は目が見えにくく、情報を集めるのが難しい、だから部下の教団幹部が麻原の情報源となる訳です。部下は麻原に気に入られる為に、「米軍が攻めてくる」などと麻原に報告することもあったようです。部下のそのような情報は、麻原の危機意識を膨らませるには十分だったようで、では果たして誰が教団の中で権力を持っていたのか、明らかではないという事です。

 

筆者はマスコミの姿勢についても問題があると言っています。国民の危機意識を煽るだけの情報を流すことは危険であると。情報を流す側も、結局は自分の判断で情報を取捨選択している訳ですから、必ず主観が入る訳です。ニュースは視聴率が欲しいから、やはりマス受けする情報に加工されると。それを人々は「主観」に頼って消費しています。これを筆者は「主観からは逃れられない」と言っています。本当ですね。客観なんて、無いんですね。

 

読んでいくと、オウムについて、いずれ分からない事が多すぎる事が分かるでしょう。村井が死んで、100%確かな情報は得られませんが、それでも司法は真実を求める努力をして欲しかったです。「平成の事件は平成のうちに」的な力が働いたのか、もう叶わない願いになってしまいましたね。残念です。もちろん事実が表明されたら、死刑はやむなし、とは思いますが。

そもそも、このような事実を知っていた人が、果たしてどれだけ居たのでしょうか。多くの人が知らないまま、死刑賛成多数という世論を作ってしまったのではと考えると、マスコミも怠慢を思い浮かべずにはいられないです。

 

彼らのようなのが再び出て来た時に、どうすれば良いのか分からないまま、日本は更に不安定な時代を迎える事になります。さてさて、日本はどうなるのかな....。

 

FAKE

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i-新聞記者ドキュメント-

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