ニートの平日

地方国立大卒ニートの生活記録。「え、ニートに平日も休日もないだろ....」という下らない日記です。

読書感想:本間龍「ブラックボランティア」2020年までに日本人全員に読んで欲しい良書。

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2020年の東京オリンピックの開催には反対です。

ボランティアで労働力を集める上に、1兆円の赤字を見込んでいるからです。

 

そんな怒りにも似た感情を抱いていると、一冊の本に出合ってしまいました。

 

それが、今回紹介する「ブラック・ボランティア」です。

大手広告代理店の博報堂に勤務していた本間龍氏の本です。

 

著者も、東京オリンピックの労働力をボランティアで募ることに反対しています。

そして、この本には、その理由がよく書かれています。

 

凄く良い読書体験ができたので、読書感想を残します。

とても良い本すぎて、ぜんぶ引用したいくらいなのです。

が、それだと本が売れなくなってしまうので、5~6,000字くらいで書きたいと思います。

 

2020年までに、一人でも多くの人の手に渡って欲しい本です。

書店で見つけたら、ぜひ読んでみて下さい。

 

ブラックボランティア (角川新書)

ブラックボランティア (角川新書)

 

 

 

目次

 

現代のオリンピックは商業イベント。

スポーツの祭典ですが、オリンピックはビジネスなのです。

それに関わる人達は、やはり有給で雇わなければいけません。

 

どのようなイベントも、その現場を支えるスタッフが成り立たない。野球やサッカーの試合、大小様々なコンサートでは、入場整理や経路誘導、警備、物販、駐車場管理など、その仕事は多岐にわたる。それらの仕事に従事するスタッフは、すべて有給で雇用されている。利益創出を前提とする商業イベントが有給の雇用関係で成り立つことに、疑問を唱える人はいないだろう。

にもかかわらず、同じく巨大な商業イベントである東京五輪が、11万人以上と予想されるボランティアをすべて無償、つまりタダで「使う」ことを前提としているのはなぜなのか。本書はその理不尽を伝え、オリンピックという美名に隠され、搾取される人を1人でも減らしたいと願って記すものだ。

 

まず、はじめにの所から。

ここだけでも、東京オリンピックのボランティア政策がダメだとわかるはずです。

オリンピックはスポーツの祭典ですが、言い方を変えると「ビジネス」なんですよね。

スポーツ選手のプレーを見せる代わりに、チケットを売ったりテレビで放映したり、スポンサーを集めたりするわけです。

 

その運営には、絶対にお金が支払われるはずです。

しかし、組織委員会などの上の人達は好待遇で、現場で実際に働く人を無償で雇うのは、どう考えてもおかしいですよね。

 

中には、「オリンピック」という聞こえの良いワードに騙されて、ボランティアに行ってしまう人が居そうですねぇ.....。

しかし、それは絶対にしてはいけません。商業イベントのスタッフに、お金が払われないのを認めてはいけません。

 

もし、ここでボランティアが集まって大会が無事に開催されたら、悪い前例が出来てしまいます。

その事を、皆さんは知って置くべきですね。一人でも多く、その事に気付いて下さい。

 

 

交通費、宿泊費も自己負担。

給料だけでなく、宿泊費などの最低限必要なお金も出さないそうです。

それで人が集まると思っているんですかねぇ.....。

 

・1日8時間、10日以上従事できる人(18年6月11日に5日以上に変更)

・本場までに行われる研修に参加できる人

を参加条件とし、組織委から給付するのは制服と食事(1日1食との報道もある)のみで、

・会場までの交通費は自己負担

・円方からの参加の場合の宿泊費は自己負担

としている。もちろん拘束時間に対する給与はなしだ。要は参加に際して発生する費用はすべて自己負担するということだ。これに関しては組織委内部においても、さすがに条件が酷すぎるのでという指摘もあったが、そのまま押し切られる形で発表されたという。 

 

ボランティアで来てくれる人に、色々と決まりを作って拘束しています。

一体どういう身分で言っているんでしょうかねぇ.....。

 

1日8時間を10日以上、それを自己負担で来いなんて、だれか来ると思ってるのかな?

そのまま中止になれば良いですね。

 

 

「感動を分かち合う」などの聴こえの良いワードで騙そうとしている。

組織委員会は、無償で働く人を感情で刺激して、誤魔化そうとしています。

なぜ無償なのか?という問いへのまともな回答をせず、感情で人を騙そうとする意図が見え見えですね。

 

筆者は組織委等に対して2017年6月、ボランティア無償の理由を文書で質問している。それに対し、

・一生に一度の舞台を提供し、多くの人々と感動を分かち合えるから

・一丸となって五輪を成功させ、世界中の人々と触れ合える場だから

などと回答してきた。(後略)

組織委のHP上には、「大会の顔」「一丸となって」「熱意」など、ボランティアの必要性や感動を煽る文言が並んでいるが、そもそもなぜ真夏の酷暑下で8時間、10日以上働くのに無償なのか、という説明は一切ない。つまり初めから「ボランティアは無償が当然」という姿勢なのだ。これは、多くの人々の「ボランティアとは無償で行うもの」という思いこみを巧みに利用していると言えるだろう。

無償ボランティアの代表例としては、東日本大震災熊本地震などの災害復興ボランティアを誰もが思い浮かべるだろう。突発的な大災害に対しては緊急かつ大規模な人的援助が必要なのは当然であり、それが無償で行われることには筆者も反対しないし、その行為は尊いものだと思う。災害ボランティアとは公共の福祉または公益に貢献し、第一義的には利潤追求を目的としていない場に対して提供されるから無償なのだ。

しかし、現在の五輪は莫大な商業的利潤を発生させる前提で運営されている。その時点で無償ボランティアの定義から外れている。その招聘から実施まですべての有給スタッフでなされており、多くのスポンサー企業が巨額の協賛金拠出に応じるのは、それが将来、自社の利益になると確信しているからだ。要するに、災害ボランティアと東京五輪ボランティアは、ボランティアという言葉を使っているが、中身はまったく異なるものである。

現在の五輪は、ワールドカップサッカーやJリーグプロ野球の試合と何ら変わらない、観客に興奮や喜びを与えることで対価を得る興業(イベント)である、あまりに巨大になりすぎたのと、アスリートたちの真剣勝負に陰に隠れているが、あくまで大掛かりな利益追求の場であり、福祉や公益とは真逆の場である。そのような利益追求の興行を、無償ボランティアで支えるというのは、どう考えてもおかしい。(P18~20)

 

いや~酷いな。「一生に一度」とか、「多くの人と感動を分かち合う」とか、「世界中の人々と感動を分かち合う」など、凄く聞こえの良いワードを使って人々を搾取しようとしています。

 

「なぜ無償なのか?」という質問に論理的な回答がなく、思いっきり感情論で返答している辺りもキモイですねぇ。

「一生に一度」とか、「感動を分かち合う」とおか、別にそんな事は聞いてないんですよね。でも、そんな事しか言えないくらい、組織委の人も何も知らないんですよね。

 

そして、「ボランティア」というのは災害支援などの利潤を目的にしない活動に対して「自発的に」行く行為ですよね。

しかし、今のオリンピックはビジネスで、利潤を思いっきり追求しています。スポンサーも募集しているしチケットや放映権も売っています。そこの現場で働く人達を無償で働かせるって、それ強制労働じゃないですか.....。

 

でも、「オリンピックに関われるんだから、むしろ有り難いだろ」とか、そんなバカな精神論を言いだす奴が絶対にいます。が、そんなのに騙されてはいけませんよ。

 

 

自主的に集まってくれるボランティアを条件付きで拘束している。

そして、自主的に来てくれる人に色々と条件を付けて拘束しようとしています。

いったいどういう身分でモノを言っているのでしょうかねぇ....。

 

では、ボランティアの応募条件はどのようなものなのか見てみよう。

1. 2020年4月1日以前に生まれた方

2. 組織委員会の指定する全ての研修に参加可能な方

3. 活動中において、日本国籍を有し、又は日本に滞在する在留資格を有する方

4. 大会期間中及び大会期間前後を通じて、合計10日以上活動できる方

5. 東京2020大会成功に向けて、情熱を持って最後まで役割を全うできる方

6. お互いに思いやる心を持ちチームとして活動したい方

 

この応募資格の中に私はいくつもの欺瞞を見る。最大のものは、自主的に集まってくれるボランティアにあれこれと細かい条件をつけていることだ。ボランティアとはあくまで自己都合で行うものだから、1日だけしかできない人もいれば、数週間できる人もいる。

それを、研修に参加せよ、10日以上活動に参加せよと条件をつけるのは、ボランティアではなく「仕事」である。無償で労働力を提供をしようという善意の人々に注文をつけているのが、まずおかしい。

 

 自主的に来てくれる人に色々と条件を付けています。

「研修に参加できる方」とか、「情熱を持って最後まで役割を全うできる方」とか、そんな条件を付けていますが、そんな事言える身分ですかね?

 

筆者は、ボランティアはあくまで自己都合で行うものだから、1日しか参加できない人もいるというのは、皆さん覚えておくべきです。

もし余裕があって参加するにしても、真夏の暑い日に10日なんて、居る必要はないんですよ。て言うか、ムリです。

 

 

 犠牲になるのは学生?

委員会は大学と協定まで結んで、タダで働く人を集めようとしています。

卑怯ですねぇ....。

 

そのため、組織委は自主的な応募だけではとても足りないとみて、ボランティアの中心と期待する学生層、とりわけ大学生層にターゲットを絞り、あの手この手で動員を図ろうとしている。

その最もたるものが、全国800以上の大学と14年に組織委が結んだ連携協定だ。表向きは「20202年の大会に向けて、オリンピック・パラリンピック教育の推進やグローバル人材の育成、各大学の特色を生かした取り組みを進めていく」とあるが、要は各大学に対してボランティア集めに便宜を図れ、ということである。(P27~28)

 

やれやれ、大学もバカな事をやってくれますねww。教育機関に非ざる愚行です。

大事な学生たちが、「一生に一度」とか「感動を分かち合う」などのワードで搾取されようとしているのに気づきましょう。

 

学生たちは、勉強をする事が仕事です。オリンピックで働かされて、しかもお金もらえなくては、勉強の障害になります。

それなのに、この連携協定を結ぶなんて、どう考えてもバカですよ。筆者が「ボランティア集めに便宜を図れ」と表現していますが、その通りですね。

 

 

薬剤師まで無償?

薬剤師という高度な専門職の人もタダで使おうとしています。

 

17年9月、五輪選手団に設けられる総合診療所のスタッフ募集メールがあまりにもブラックすぎるとして話題になった。スポーツファーマシストの奥谷元哉氏がその内容をブログで告発したのだ。薬剤師という国家資格保有者に対し、10日以上すべての無償で五輪に協力せよという要請だったからだ。その募集内容は

 

日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が専門知識を有するとスポーツファーマシストの資格取得者

・10日間程度勤務可能であること

・英語で服薬指導ができること

・病院・診療所での勤務経験があることが望ましい

・報酬・旅費の支給なし

・宿泊施設の手当はなし

・ユニフォームの支給あり

 

という酷いものだった。(後略)

 

奥谷氏はブログの中で、

 

 8時間以上拘束で最低10日は来てください。これはボランティアと言え 

 るのでしょうか?スポーツファーマシストの資格を持っていて、英語で

 投薬が出来て、輸血も扱えて下さい。このような特定の条件、強い拘束 

 力を持っているのであれば、ボランティアではなく、仕事です。仕事を 

 する人を派遣するのですから当然、交通宿泊費と日当は支給されるべき 

 です。

 

と語っているが、まさにその通りだと思う。五輪という美名のもとにあらゆる資格の価値を無視し、すべて無償で調達しようとする組織委の姿勢と、それをそのまま受け入れてしまう諸団体の思慮のなさ、無責任さが、無償ボランティア問題を生んでいる。

 

あわわ.......。薬剤師まで無償で集めようとしているのか.....。これムリだろ......。

まぁ、集まらないでしょうねぇ......。薬剤師は高度な資格なんだから、無料で使うべきでは無いですよ。

 

 

1964年の東京五輪では、7~8月の開催は不適応とされていた。

今ほど暑くなかった時でも、7~8月の開催は否定されていました。

 

54年前の東京大会は、10月に開催された。その理由は何だったのだろうか。「第18回オリンピック競技大会公式報告書」(オリンピック東京大会組織委員会編)に詳しく記載されているので紹介する。

 

ここで注目したいのは、この当時も2020年東京大会五輪と同じ7月下旬から8月上旬案(a)が検討されたが、「最も不適当」として早々に否定されていることだ。

このことはまだ都心に高層ビルなどなく、今ほどアスファルト化されていなかったから、ヒートアイランド現象などもなかった。現代に比べれば冷房設備は未発達だったが、建造物の密集度には格段の差があり、蒸し暑さも違っていたはずだ。

だが組織委はこの時期を「気温、温度ともにきわめて高く」「最も不適当」と強い表現を用いてIOCには開催提案すらしていない。当時でさえ、真夏の東京での開催は不適当と考えられていたのだ。

ところが現在の組織委は、54年前に否定されたよりも遥かに過酷な気象条件となっている真夏の東京で五輪を開催し、さらには11万人のボランティアを使役しようとしているのである。

半世紀以上前にアスリート観衆の双方び対し「不適当」とされた季節に、五輪を強行しようとする組織委と国の姿勢は無謀かつ無責任としか言いようがない。

 

1964年の東京五輪の時でさえ、夏の開催は不適当とされていました。

それで、この暑い現在の東京で開催はムリですねぇ、どう考えても.....。

 

これには、アメリカの大手メディアの思惑が隠れているようです。

が、そこで夏以外の開催を提案していないのにも驚きを隠せませんね。

 

筆者も、そこで選手にプレーさせてスタッフは無償で働かせるなんて無謀だと言っていますが、その通りですね。

 

 

2020年までに、皆さんに読んで欲しい。

この他にも、全国民が知るべき東京オリンピックの姿が掛かれています。

2020年までに、ぜひ多くの人に読んで欲しいです。

アマゾンでも売ってるのでよかったら買ってくださいww

 

ブラックボランティア (角川新書)

ブラックボランティア (角川新書)

 

 

 

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