映画感想:「彼女がその名を知らない鳥たち」 人間の汚さをリアルに映したラブストーリー。
去年話題になった、白石和彌監督作品。
人間の汚さを描きながら、歪な愛の形を表現しています。
結末の意外性もあって、とっても面白い映画です。
未見の方はぜひ。
おススメ度:★★★★★
目次
基本情報
2017年:日本
監督:白石和彌
キャスト:蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊、村川絵梨、他
あらすじ
建設会社で働く佐野陣治と、彼と同居する北原十和子。
十和子は男好きで、何かと文句を付けて人を困らせる小悪女。
彼女にとって、陣治はお金をくれるだけの存在で、後はいてもいなくても良い存在だった。
時計が壊れて、店に修理をお願いする。そこに「水島」という男が現れる。男好きの十和子はすぐに惚れこみ、すぐさま肉体関係を持ってしまう。
その後も何回か会ううちに、彼女はかつて交際していた「黒崎」という男を思い出す。
別れた後も黒崎に会っていたのでは?と姉から疑われる十和子だが、その様子はどこかおかしい。
ある日、警察が家にやってきて「黒崎は5年前に失踪している」知らされる。黒崎と、十和子、陣治には、過去には何があるのか.........。
感想
人間の闇を描くことに評判のある、「凶悪」、「日本で一番悪い奴ら」の白石和彌監督の作品です。
去年、一部の人の間で話題になりました。遅れながら鑑賞したのですが、コレ、めっちゃ面白い!「何で劇場で観なかったんだ?」と後悔しました。
まず、人間の汚~い部分を表現している所が良いですね。登場人物の一人一人に、すっごく闇があります。しかもそれがリアルで怖さを引き出しています。
特に、阿部サダヲ演じる佐野陣治が、ジワジワと汚いところを出してきます。
十和子への愛はすごく強いんだけど、その愛はすごく重たいし、引くほど醜い性格を見せて来る辺りにゾワッと来ますね。
ストーリーと結末も、よく作られています。
途中途中で、「アレ?」と思う部分が散らされています。主人公の十和子が突然、昔の恋人の黒崎を思い出したり、大事な所の部分の記憶が曖昧だったり.......。
しかし、最後にキッチリと回収してくれます。「うわ~そうだったのね」と、最後の最後に思わぬ結末が待っています。この辺の作り方がとっても上手いです。2人のキレイでは無くとも、確かな愛の形も、ここで明らかになります。
サスペンス、ラブストーリーが好きな人におススメの作品です。
未見の方はぜひ。