映画感想:「幸福の罪」 ヨーロッパらしく暗い・重い・汚いを備えたラブサスペンス映画。
こんちわ。
アマゾンプライムで面白い映画を探していたら、またまた見つけてしまいました。
それが、この「幸福の罪」という映画です。
チェコの映画で、なかなか珍しいなぁと思って鑑賞したのですが面白い!
僕好みの「人間の汚さ・空気の重さ・意外な展開」がちゃんと網羅された映画でした。
パッケージを見てみると「チェコアカデミー賞」とか何とか書いてあるので、おそらく何かの賞を取ったのでしょうねぇ....。
目次
基本情報
2011年:チェコ
監督:ヤン・フジェベイク
キャスト:オンドジェイ・ベトヒー、アニャ・ガイスレロバ、ヒネク・チェルマク、他
上映時間:1時間42分
あらすじ
リハビリ医のトマシュは、妻のミラダとミラダの妹のリダ、彼らの娘のテレザと、かなり幸せに暮らしていた。
刑事のラダはミラダの元夫で、障害を持つ息子と一緒に暮らしていた。
ある日トマシュの元にあるメールと手紙が届く。それは、トマシュが彼の患者のオリンカという少女と性的な関係を持っているという内容だった。
しかしトマシュに一切覚えがない...。オリンカの想いは本気で、彼女は愛し合っていたと語るのだ....。
そこで、ラダはトマシュの事件の捜査をする事になる。元妻と自分の妻を奪った男を捜査する事に抵抗を抱くが、彼は慎重に捜査を進める....。
そして、オリンカは検査の結果、トマシュと関係を持っていない事が判明する。
しかし、トマシュにはもう一つ、誰にも言えない秘密があった....。
ザックリ感想
アマゾンプライムで気になる映画を立て続けに見ていて、その中の一本として出会った本作。
「どんなもんかな~」と気軽に構えていたら、まぁ面白い!大傑作!
あらすじを見ないで観始めたから、最初は暖かい家族モノなのかな....って思ってました。しかし話が進んでいくとメッチャ暗い、重い、汚い....。でも作りが上手い。
特にストーリーに意外性を持たせいるのが良かったですねぇ~。トマシュと彼の患者のオリンカと出来ているように見せて、実際はそうでは無くて、「え、誰なの......」ってなるじゃないですか。
でも、ちゃんと悪い人は居たんですねぇ~。悪い奴って、やはり意外な場所に居たりするもので....。そんな意外性もあって最後まで楽しかったですよ。
また、ヨーロッパの映画の独特の、空気の重さとか描写の暗さも良かったです。映画の面白さが更に表現されていましたねぇ...。
アメリカの映画って、どこか大雑把で派手な演出に頼りがちな所があるんですけど、欧州の作品は暗くて静かなモノが多く本作もそんな感じです。
ぶっちゃけ、ちゃんとストーリとかで勝負できればムダな事はしなくてもいいので、僕はそういう方が好きです。
今年見た映画の中でも、間違いなくトップ5に入る出来です。プライムで観れる間に、ぜひ見て下さい。
複雑な家族関係と人間の汚さが良い。
この作品の面白さを説明するにはメンバー紹介をしないといけませんねぇ....。
ラダ・・・刑事。ミラダの元夫。障害を持つ息子が居る。ミラダを医者のトマシュに取られる。そのトマシュの捜査を担当する。
ミラダ・・・ラダの元嫁。トマシュの現嫁。トマシュとの間にテレザと言う娘がいる。基本的にラダとその子供を嫌っている。
トマシュ・・・ミラダの夫。リハビリ医。イケメンでモテる。ラダとミラダが結婚している時に子供を作って、ラダからミラダを奪った....。しかし、本人に罪の意識は無く、むしろ結婚生活を楽しんでいる....。
リダ・・・ミラダの妹。医学部に通っていたが中退し、ボランティアで色々やっている。父親の面倒も見ている。
オリンカ・・・トマシュの患者。トマシュと性的関係を持ったとされた。病院に通ってるのはトマシュに会う事が目的でもあり、実際に彼に好意を寄せている。
テレザ・・・トマシュとミラダの娘。ミラダが前夫のラダと婚姻関係にある時にできた子供。よくリダが面倒を見ていた。
どうですか?めっちゃ複雑でしょ?
特にミラダとトマシュがすこぶるゲス人間なんです....。
ミラダはラダと婚姻関係にある時にトマシュと子供を作り、ラダと息子を置いて出ていきました。そして、堂々と彼と美人な娘とで暮らしているのです....。
んで、このトマシュという男も悪びれる様子も無くミラダと結婚生活を楽しんでいます。
娘を作ってラダからミラダを奪い、おまけにイケメンで患者の女にもモテモテで、美少女のオリンカにも関係を持ったとか持たないとかで......ってなるって、マジでクソですね...。
しかし唯一救いなのが、トマシュとミラダの娘のテレザが美人な所です。
ただ、彼女も母親に似ている醜さがあり、義理の兄を邪険に扱っています。おそらく母親の前夫の事も気にくわないのでしょう。まぁ、それはそうですよね.....。
しかし、そんな彼女の父親が淫行で捕まってしまうのです...。
ラダはその操作を担当します....。
人間の汚い部分がジワジワと透けて見える....。
んで、ミラダやトマシュの人間性もまた汚いんです....。ジワジワと汚さを出してきます。
前述しましたが、トマシュはミラダを妊娠させてラダから奪いました....。
しかし、それを悪びれる様子もなく、美人な娘を儲けて幸せに暮らしています。
患者を見ている時の顔も妙に賺した感じで、オリンカの下着姿を見ながら得意げに「もう治っているよ」と言う辺りも好きません....。僕に言わせればFU〇Kです、FU〇K。
んで、彼はオリンカとの淫行の嫌疑を掛けられ、見事に警察にぶち込まれるのです....。
ミラダをトマシュに取られた刑事ラダは、絶好の仕返しのチャンス.....と思いきや、彼は冷静で慎重に捜査を進めていきます。
トマシュが逮捕された後、家庭の環境は一変します。警察は家に来るし、父親が少女と淫行したと騒がれてテレザは学校に居ずらくなるし.....。
トマシュが逮捕されたまでは良いです。しかし、その後のミラダがまたクソです。
前夫のラダが家に来た時に、彼女はトマシュを庇うばかりか、自分たちの行為を正当化し、全てをラダのせいにするような発言をするのです。
「夫はまともな人よ」
「あなたみたいな負け犬とは違う」
「ごく普通の性生活を送っていると断言するわ」
とまさに言いたい放題。
「夫はまとも」とか「ごく普通の性生活を送っている」と言っていますが、彼らは不倫をしてミラダは彼と子供を捨てて、トマシュと結婚したわけです...。
どこが普通の性生活なんだ?ってなりますよね。ホントこのミラダという女は醜いです。
それどころか、ラダの悪口を言いたい放題言うって、あり得ないですよね....。
しかしラダは冷静さを保ちます。決して感情的に怒らず、あくまで刑事の立場でミラダたちと接します。
妻を取られ、その夫を捜査する嫌な役回りをしながら文句を言われ、それにも怒らない彼の立場を考えると涙が出てきます。
僕ならどんな手を使っても二人を地獄に落としたいと思うでしょうが、彼はそんな素振りも見せません。
あぁトマシュとミラダ地獄に落ちろ落ちろ落ちろ......。
やはり犯人は意外な所に....。
オリンカとの関係が疑われたトマシュですが、結局そのような事実は無く、トマシュは釈放される方向に行きます。
しかし、やはりそれはトマシュに好意を抱く人間の策略でした。
いや~やっぱり犯人って意外な所に居るんですよねぇ....。
でも、2回ほど見ていると、何となくそれっぽい描写があるんですよね....。「あ、何となくコイツが怪しいな」っていう部分を、途中に散りばめています。
すごく残念な終わり方で、胸糞も悪いです。
人間の汚い所を出しながら、意外なストーリーを用意して、ちゃんと楽しませてくれます。
人の闇を描いた映画が好きな人や、暗いサスペンス映画が好きな人は、ぜひ。
やはり、こういうサスペンス映画は、ヨーロッパの方が作るのが上手いですねぇ...。。
「ミレニアム」とか「特捜部Q」とか、「ゴーストライター」とか、暗さとか重さを感じさせるの作品が多いですね。今後も見ていきたいと思っております....。
この映画はアマゾンプライムビデオで視聴できます。