映画感想:『SCOOP』 良い映画なだけに残念な理由。
日本を代表するイケメン福山雅治がパパラッチに扮する。果たして?
監督:大根仁
キャスト:福山雅治、二階堂ふみ、吉田羊、滝藤賢一、斎藤工、リリーフランキー、宇野祥平、他
<テキトーにあらすじ>
週刊誌SCOOPの元エースカメラマン都城静は、現在はフリーで活動中。芸能人のスキャンダルを追っていた。
ある芸能人を追っていたところに、SCOOPの新人記者の行川野火に遭遇。静は、伸びにチャンスを潰されてしまう。
彼らは横川定子編集長の指示でコンビを組み、街で起こるスキャンダルをスクープし、SCOOPの売り上げは爆発的に伸びていく。
<感想>
中年カメラマンと新人記者がコンビを組んで、数々のスキャンダルをスクープしていくという話。前半の都城のゲスで下ネタ前回な感じが凄くハマっていた。その静と野火が有名人のスキャンダルをすっぱ抜く展開も、凄くドキドキした。特に政治家と女子アナの不倫現場を、ホテルの非常階段から花火を使って撮るというアイデアも面白かった。
しかし、後半から静が普通の人間になってしまったのが残念。前半のキャラのままが良かったのに。福山を普通のキャラにしたら、ただのイケメン映画になってしまうぞ。
続殺人犯の顔を撮るシーンもアホ臭い。滝藤演じるラグビー経験者の馬場が、ちょっと暴れたくらいで大人数の警察が止められないとか、普通にあり得ないでしょ。もし本当にそうなら、日本の警察は弱すぎてテロなんていくらでも起きるでしょう。
週刊誌のパパラッチというのは禿でデブで、風俗とギャンブルが好きなイメージが強い。一方、福山はカッコ良すぎる。こんなパパラッチいたら風俗なんて行かなくてもヤれるし、ちょっと女の芸能人に声を掛ければ情報なんていくらでも手に入るはず。主演がイケメン過ぎるせいか、パパラッチの話にしては綺麗すぎ。もう少し、ドロドロした話に期待していたのだが。
僕的には、不細工なパパラッチが、ギャンブルと風俗に行くお金の為に芸能人のスキャンダルを追いかけるという話の方が良いと思う。その方が余計にゲスで汚くて、面白いじゃん。だから、こういう役は不細工な俳優さんの方が適役でしょう。具体的に名前を出すと失礼なので、ここでは言わないが(笑)。
でも、現実的にそれは難しいでしょうね。話題にもならないし、収益も見込めない。どうしても、イケメン福山推しの強さが最後まで残っていたのが残念。69点。
散々貶した感じになってしまったが、別に嫌いなわけでは無い。むしろ、この映画は好きだ。
前半の荒々しい都城静が野火をこき使いながらSCOOPを連発する展開は、凄くスピード感があってめちゃくちゃ面白かった。ここまでは、ホント凄い。
しかし、問題は1時間過ぎ。ネタバレすると、静と野火は仕事の関係のはずなのに、肉体関係を持ってしまう。そして、静は凄く普通の人間になってしまう。これでは、面白みが半減だ。
やはりイケメン俳優を起用すると、恋愛を要素を必ず入れなければいけない。そうすると、正統派なキャラクターにしないといけない。じゃないと女性ファンにウケないからね。福山ファンに媚びている感が残念。
そして、連続殺人犯の顔写真を撮るシーン。ここがメチャクチャあり得なすぎて笑える。元体育会系の馬場が暴れるだけで、警察が引っ掻き回される。そして、その隙に班員の顔が出てしまうなんて、警察は何やっているんだ?弱すぎて、話にならん!こんな奴らが警察だったら、日本も終わりだぞ。
ラスト。静の情報屋であるチャラ源が壊れ、街で銃を乱射するシーン。ここは凄くシリアスで良い。ヘラヘラしていて何を考えているか分からないチャラ源が、街で暴れまわるのには、ドキドキした。
そして、どんな役を演じても凄くハマってしまうリリーフランキーの凄さに感動。僕は怖い人の役が好き。
何回も言うけど、僕はこの映画が嫌いでは無い。むしろ、こういうダークな部分が多い映画は好きだ。純愛ストーリーなんて映画で観たくない。
だが、それだけにもう少し汚い映画に出来なかったのかな?主演がかっこ良すぎるし、途中からまともになっちゃうし、恋愛が絡んでくるし、、、。日本版『ナイトクローラー』にはなれず。
歪んだ性格のせいでこんな観方しか出来ないのかな?まぁ、普通の性格の皆さんなら楽しめると思うよ。