ニートの平日

地方国立大卒ニートの生活記録。「え、ニートに平日も休日もないだろ....」という下らない日記です。

【読書感想】百田尚樹著『戦争と平和』 日本は戦争に向いてない。だからこそ、リアリストになって抑止する必要がある。

百田尚樹さんの『戦争と平和』という本を読みました。

帯の「圧倒的説得力の反戦論」「日本は戦争に向いてない民族だった」というコピーに惹かれたが、それに相応しい、いやそれ以上の内容の本でした。

百田氏は保守寄りの思想を持っている方なので、「日本は戦争に向いていない」と書くなんて意外でした。

 

しかし、読んでいくと「なるほど、そういう事かぁ~」と納得。

歴史や国民性の観点から、その理由を詳しく述べています。そして、現実的に国を守るにはどうしたら良いか、という事についてもしっかり言及しています。まさに脳天を突き刺すような感覚です。

これからの日本を生きる人間は、全員必読です。みんなで国防について考えましょう。軽く読書感想を残します。

 

戦争と平和 (新潮新書)

戦争と平和 (新潮新書)

 

 

 

  <第一章:ゼロ戦グラマン

生産に手間と時間がかかるゼロ戦

 

ゼロ戦の見た目は非常に美しい。その美しさはどこから来ているのか。これはR(曲線、カーブ)が多いからです。なぜそんなにカーブが多いかといえば、最大の理由は空気抵抗を少なくできるからです。これは今でも、スピードを必要とする乗り物に求められる特徴です。(P14)

 

一方で、グラマンは対照的に直線ばかりで設計された期待です。羽にしてもハサミで垂直に切ったような形状です。(後略)(P15)

 

それはなぜか―作りやすさを重視したからです。設計図面の上でカーブを描くのはそう大変ではないかもしれませんが、制作現場においては違います。鉄やジェラルミンを図面通りに切るのは高い技術が求められるのです。アメリカ軍にはそれがわかっていたのでしょう。

製作現場で職人技を必要とする設計となれば、結果として製作時間が長くなってしまう。つまり、同じ時間あたりで比較した場合に、カーブ中心のものと直線中心のものでは、後者のほうが大量に製作できるというわけです。また熟練工がいなくても作ることができる―極端に言えば、近所のおじさんやおばさんを連れてきても工程を進められるのです。(P16)

ゼロ戦の曲線ボディが、強さの理由だったと述べています。なるほどぉ。

アメリカも作ろうと思えばこれくらいは作れたんだろうけど、あえてそうはしなかったのでしょう。誰でも簡単に戦闘機を大量に作った方が戦争には有利だ、と最初から分かっていたのでしょう。

 

ゼロ戦の欠点。パイロットをムダ死にさせた日本

 

実はゼロ戦では大きな欠点がいくつかありました。その一つが防御力です。特に初期のものは、防御力が殆ど皆無といってもいいほどのレベルでした。一発撃たれてしまえば、直ちに火を噴いてしまう。パイロットの座る操縦席を守るべき、背中の板もスカスカでした。軽量化のためです。そのため後ろからどんな小さな弾でも撃たれて当たれば、パイロットの身体を貫通してしまう。(P23)

 

なぜアメリカ軍はパイロットの命を大事にしたのか。それはアメリカのヒューマニズムと思われていますが、実はそれだけではありません。そこには彼らなりの冷徹なコスト計算があったのです。

彼らはパイロット一人を育成するのに、どれだけのお金と時間がかかっているのかを冷静に見ていました。パイロットを失うということは、その養成にかけた時間と費用、すなわちコストを無駄にしてしまうという考え方です。(後略)

それだけではありません。彼らはパイロットが撃墜された経験も貴重な知見になると考えていました。(P58)

うう。せっかく熟練工が時間と手間をかけて作った戦闘機が簡単に撃墜されたのでは、戦闘機の数が足りなくなって当然ですよね。 これも、日本が負けた大きな理由でしょう。

そして、アメリカがパイロットの命を大事にした理由も合理的ですね。戦争は人の力が重要。そして、パイロットの育成はとても大変。自動車ならどうにかなりそうですが、パイロットの命も大切にするべきでした。

 

道徳心ではなく、しっかりと戦争を理解していたのがアメリカだったと言われると、何も言えませんな。ヒューマニズムではなく、しっかりとした冷徹なコスト計算があった」というのは、凄い説得力のある言葉です

 

牛で戦闘機を運ぶ日本

 

ただ国内の生産性が上がらなかった理由は、それだけではありません。日本には、ゼロ戦を牛で運ぶ非合理的なシステムを取り続けることを代表とする様々な構造がありました。その一つが「召集令状」が平等に出されたことです。(P87)

 

日本では妙な平等主義が貫かれたために、熟練の職人や工場労働者にも召集令状が出され、徴兵されていきました。たとえば、ゼロ戦を作る工場から一流の職工が徴兵されれば、その痛手は計り知れません。彼の代わりになる者はいないのです。(P88)

まず、牛で戦闘機を運んでいたの(笑)?単純に面白いですねww。どれだけ非効率化は僕でも想像できますよ。

 

そして、戦闘機を作る人を戦場に出してはダメだよね。生産に時間と手間が掛かるゼロ戦を作る熟練工は、まさに必須の存在です。当時の指導者たちは、そのことを理解できなかったのかな?

やはり、日本人はその辺の計算が甘いですね。戦争に勝つための戦略を練るのが、すごく下手なのが分かります。もちろん資源の問題もありましたが、、、。

 

最悪を考えない日本人

 

何よりも日本人が戦争に向いていない点は、これまでも書いてきたように、「最悪の状態」を想定していない、あるいはしたくないという「性格」です。(後略)

私たちは平和を維持するための努力を続けながらも、それが失敗に終わった場合の想定を常に忘れてはならないのです。それが大東亜戦争の一番大切な教訓であると、私は思います。(P106)

ここは、著者の考えが一番よく表れている部分です。

 

平和を維持するためには、平和を守らない国があった時の事を考える必要があります。もちろん、世界中の国が「戦争はしない」と言えばそれで良いですが、実際はそうではありません。そして、今の日本の周辺には、安全を脅かす国ばかりです。

 

安全を守らない国があったり、もしそのような国が攻撃を仕掛けて来た時のことも考えて、作戦を実行する必要があるのです。憲法自衛隊についても、同じだと思います。今の日本は、上手くいかなかった時やいざとなった時の事を考えていません。いつ、周辺の国が攻めてきてもおかしくないです。

 

 

あくまで紹介なので、ここまで。歴史や国民性、そして大東亜戦争での敗戦から、「日本はあまり戦争に向いていない」という事を述べています。すごく面白かったです。

 

この後の第二章と第三章では、リアリストになって戦争を抑止する必要があると説明しています。超納得の反戦論です。ぜひ、みなさんも手に取って下さい。日本が取るべき施策が分かるはずです。

 

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