映画感想:「特捜部Q キジ殺し」 第一作よりも見応えを増した第二作。過去と現在を行き来しながら事件の真相に迫る。
前作に比べて見ごたえを増して来た、デンマーク発のサスペンス第二段。
過去と現在を行き来しながら、徐々に謎が明らかになる展開が相変わらず面白いです。
おススメ度:★★★★★
目次
基本情報
2015年/デンマーク
監督:
キャスト:
上映時間:
あらすじ
女性弁護士行方不明事件を解決し、警察内での地位を上げた、未解決事件専門の特捜部Q。
カールとアサド、そこにローセという秘書が加わった。
ある日、カールにある老人が声を掛ける。
その老人は元刑事で、20年前の、解決したはずの双子殺害事件の再捜査をお願いした。
他に未解決事件を多く抱えていたカールは、それを断る。
しかし、その老人はその二時間後に、手首を切って自殺する。
責任を感じたカールは、50件を超える未解決事件の捜査を後にして、その事件の再捜査を始める。
そこには、お金持ち専門の弁護士、実業家として成功した男と、高校時代に交際していた女が関わっていた.....。
彼らの高校時代に何があったのか.....。カールとアサド、ローセは入り組んだ事件の捜査に乗り出す。
感想
デンマーク初のサスペンス映画の第二作です。
製作陣は「ミレニアム」と同じです。
前作「檻の中の女」が、けっこう面白かったんですが、「ちょっとサクサク進み過ぎて物足りないかな....」という感想を抱きました。
がが、本作は見ごたえを増し、より深さと重みがある映画になっていました。
ヨーロッパらしい暗くてどんよりした雰囲気は健在。
20年前の高校で、美少女とお金持ちのイケメンの間に、いったい何があったのか......。
現在と過去を行き来しながら、悲しい過去が明らかになります。
それが、双子の事件と大きく関わって来るのです。切なくて、とっても悲惨です。
どちらかと言うと、前作よりも本作が傑作でしょう。見逃している方はぜひ。
カールとアサドおコンビが健在。
第一作同様、未解決事件専門の「特捜部Q」には、真面目で熱いカールと、アラブ人のアサドがいます。
そこに新たに、ローセという女性秘書を迎えます。冒頭のシーンで、偉い人から称賛されます。
前回はただの左遷部署だったのですが、事件解決を受けて、地位が上がったんでしょうねぇ~。秘書を付けるほど予算も増えたようなので、良かった良かった。
カールは基本的に熱くて優秀な刑事なんです。問題を起こして左遷されてましたが。
今回も上司と対立するシーンが何度か見られます。ホント熱いです。
アサドはアラブ人のデカで、基本的に冷静で熱いカールとは少し対照的です。
カールが後先考えずに突っ込む時にも、彼は落ち着いた様子を見せます。
この二人のバランス感が、ちょうど良いですね。良いコンビです。
この二人を長く見ていたいなぁ.....。長いシリーズになる事を祈っています。
頑張れ、カール&アサド。あぁ、ローセもね。
事件の真相は20年前にさかのぼる。美少女とお金持ち少年の間に何が.......。
さて、ストーリーの方は、前作よりも見ごたえが増しています。
前作も面白かったんですが、1時間30分という短い尺で「もう少し観たいなぁ」と思いましたからねぇ....。
サクッと上手い具合に進んでしまうののも、ちょっと物足りなさを感じましたね。
多分、上下巻を一本にまとめたからでしょうね。「ミレニアム」も、第一作で一冊400pほどの上下2冊構成になっています。
原作を読んだ後に映画を観ると、「色々はしょってんなぁ」と思わざるを得ないです。まぁ、それでも面白いんですが。
まぁ、良いんです。話を戻しましょう。
左遷部署から正式な部署に格上げされた特捜部Qは、カールとアサドのコンビニ加え、ローセと言う女性秘書を迎えて再スタートします。
前回の事件解決を受けて、警察内での地位を不動のものにした特捜部Q。
女の秘書を雇うほどの予算もついて、知名度も増していきました。
ある日、カールが帰り道に老人に話し掛けられます。
「特捜部Qのカールだね?」と、そのおじさんは、20年前の双子殺害事件を再捜査して欲しいとお願いします。ちなみにこの人は、元刑事です。
部外者にも、その名が知れ渡るようになったんですねぇ。良かったねぇカール。
しかし、その依頼をカールは断ります。未解決事件が溜まっていたからです。
格上げしたからって、所詮は弱小部署ですから。そんな事をしていると、身が持ちません。既に解決した事件を操作する余裕は、無い訳です。
しかし、そこで事件が起こります。依頼してきたその元刑事のおじさんが、自殺してしまいます。
真面目なカールは、それに責任を感じ、捜査を開始します。
もちろん、アサドは反対しますが、カールの勢いは止められず。彼らは、20年前の事件に突っ込んでいくのです。
その双子の殺人事件の発生時に、「キアステン」という女から通報があった事が分かります。
彼女は俗にいうお嬢様学校に生徒でした。カールは、ローセに同級生に電話を掛けろと言います。
ローセは嫌がりますが、カールは「よろしく」と言い残します。とてもらしいですね。
んで、必死の電話調査の結果、キアステンは20年前の高校時代に、ディトリウという男と交際していた事が分かりました。
このディトリウという男は、 現在は実業家として成功している有名人です。
ディトリウは現在は妻子がいます。そして、事件を担当した弁護士クルムともつながっています。
実際にディトリウに会って話を聴いたカールとアサドは、やはり怪しさを覚えます。彼とキアステンに的を絞って捜査を進めます。
時は戻って、20年前。お金持ちのディトリウと、美少女のキアステンは、仲良く交際していました。
キアステンは一人でいる事が多い、ちょっと浮いた生徒でした。しかし、ディトリウとその仲間たちと居る時は楽しそうにします。
しかし、その愛は、キアステンの一方通行にも見えます。
ディトリウは時折、冷たい態度を見せたり、ムリなお願いをキアステンに頼みます。
この辺からも、二人の関係は、後に悲劇的な終わりを見せるんだなぁ......という予見をさせます。
そして、捜査をしていくと、20年前の真相に徐々に近づいていきます。
ディトリウらは高校時代に数々の事件を起こしていました。
そこにキアステンや、現在も行動を共にするウルレク、さらに事件の犯人となり有罪となったビャーネと共に、数々の強姦などの事件を繰り返していたのです。
カールとアサドは、事件のカギを握っているであろうキアステンを探し、話を引き出そうとします。
しかし、同じころ、ある人物がキアステンを探し始めます。
そして、やはりキアステンとディトリウの関係は悲しい終わりを迎えます。
キアステンは、大きな傷を負ってしまうんです。事件を通報したのと関係してきます。
カールとアサドは、ディトリウを追い詰めるが.......。果たして彼らを捕まえることが出来るのか?
ラストも、結局悲しいんですよ。悲惨な過去を持つキアステンは、結局救われないというか.....。
20年前と現在を行き来しながら、だんだんと事件の真相に迫っていく展開に見ごたえありです。
20年前のお話も、非常に悲しくて胸糞悪いです。その真相にカールとアサドが迫っていきます。
カールとアサドもそうですが、この美少女とお金持ちの話もすご~く面白いんです。
ミレニアムもそうですが、ヨーロッパの映画って妙に暗いんですよね。
アメリカ映画とは明らかに違った雰囲気を楽しめるでしょう。特にサスペンスには向いています。
そう言えば、「ミレニアム」でも同じなんですが、本作も女性がかなり酷い目に遭ってしまいます。
北欧だと、そういう傾向があるのでしょうか?だとしたら、人権維持団体が黙ってませんね。
日本の死刑制度に文句を言っている暇があったら、ぜひスウェーデンやデンマークの女性を守りましょう。そのための人権でしょ?