ぼっちですが何か?

地方国立大卒ニートの生活記録。精神病持ちです。

映画感想:『永い言い訳』愛するって難しい。でも、コレが人間の真の姿だ。

 

劇場公開時に鑑賞。その時に、物凄い衝撃を受けました。「君の名は。」の後に見ましたが、こちらの方の印象が強すぎたのを今でも覚えています。

色んな感情が押し寄せて来た。エンドロールもしっかり観たし、エンドロールが終わっても、劇場から出たくないと、思ったほどだ。

 

ちなみに、その前には、あの大ヒット作『君の名は。』を観た。もちろん『君の名は。』も凄く面白かったが、それを大きく上回る印象を僕に与えた。

色んな事を考えながら自転車を走らせ、コンビニによって、適当な酒とカップラーメンを買って、再び家で色々考えたのを、覚えている。

 

その時感じた、「色んな感情」の正体は、その時あまりハッキリしなかった。

そして、今更円盤を購入。何回も、繰り返しリピートしている。

 

一回感想書いたけど、ちゃんと観て、ちゃんとレビューしたかったんだ。

 

その色んな感情を、出来る限り文章で表現してみたい。

 

監督:西川美和

キャスト:本木雅弘竹原ピストル藤田健心、白鳥玉季、池松壮亮黒木華深津絵里山田真歩木村多江、他

 

 

あらすじ

小説家の津村啓こと衣笠幸夫。

学生時代に出会った美容師の妻と、そこそこ良い生活をしていた。が、その妻との関係はすっかり冷めきっていた。

 

ある日の夜、幸夫は妻に散髪をしてもらう。自分が出演しているテレビを見て、「もう消せよ」と言ったことから、二人は軽い口論となる。

その後、妻の夏子は「後片付けはお願いね」と言って、友人と旅行へ出かけてしまう。

幸夫は、妻の居なくなった家で愛人と愛し合う。

 

しかし、愛人と迎えた翌朝。警察からの電話で、夏子が事故で死んだ事が告げられる。そこから彼は、同じ遺族の大宮陽一とその子供の真平、灯と触れ合うことで、”人を愛すること”、を知っていく.....。

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胸を掻き毟る衝撃!リアルな人間と愛を描いた、まさに傑作。

人間というのは色んな側面でできています。不誠実な面もあれば、ちゃんと優しい面もあるんです。

そして、人を愛するって、めっちゃ難しいことです、色んな意味で。一人の人を一生、ひと時も欠かさず愛するなんて、ほぼ無理です。でも、いざとなってみると、その人の大事さがどっしと身に染みて来たり......。

それを、この主人公の幸夫君が教えてくれます。ホント、人間というのは単純じゃないですよ。もっと単純になれれば良いのにな、その方が楽なのにな。

 

映画としては、ただの感動モノという訳でも無く、コメディという訳でもありません。

しかし、鑑賞後には頭を引っ掻き回すような思いに支配されます。すごく複雑な人間という生き物を、すごくリアルに描き切っていて、「ホント人間って、単純にはなれないよな~」と思わされました。

その途中で、クスッと笑える場面があったり......。この辺の作り方もホント上手いなぁと、その日の夜は、なかなか眠れなかったほどです。

 

2016年の隠れた傑作として、今後も語り継がれて欲しいですね。忘れ去られるべきではない作品です。

実は僕も利用しているアマゾンプライムビデオで配信されているんですが、正直「クソ」って思ってます。

だって、良い映画って、それなりの価格でBlu-rayを買ってでも観て欲しいじゃないですか。製作者にもお金が入りますし。

西川監督やキャストの人達に、ちょっと申し訳ないです。コレが年間3900円のサービスで観れて良い訳が無いのです!

まぁ、アマゾンには機嫌があるので、見放題から外れたら、ぜひ円盤を購入して下さい。

それくらいの価値がある映画です。100点!

 

 

人を愛するって難しい。

 

奥さんに散髪をしてもらいながら、自分の出演しているテレビ番組を観て、面白くない表情をする作家津村啓こと衣笠幸夫。「日本古来の~」と明るく話すテレビ画面の彼とは真逆です。

   

彼らは下らないことで喧嘩を始めます。そして、笑顔がありません。

おそらく、彼らは倦怠期で、関係があまりよくないのです。でも、奥さんの方はすごく愛想よくしてますけどね。

 

奥さんの夏子は友人との旅行に出かけます。

その後、幸夫は待ってましたとばかりに愛人を家に連れ込みます。

ワインを飲んで、音楽について語る。そして、ベッドで愛し合います。その時、彼らは何があったかも知らぬまま.......。

 

愛人役で出ているのが黒木華なんだけど、これが似合い過ぎています。派手な顔じゃないけど、どこか味のある感じで、愛人役が似合います。 

 

 

愛人と愛し合った翌朝。幸夫の元に山形県警から電話がきます。

「衣笠夏子さんのお宅で間違いないでしょうか?」という声に思わず吹き出してしまう幸夫と愛人でしたが、そこで夏子が死んだ事が明らかになるのです。

 

この時が、さすがに驚いた様子の幸夫。ここで、改めてことの重大さに気付いたようです。

 

そして、葬儀でも涙もみせず、ただ淡々と夏子のことを語ります。その様子に、夏子の同僚は怒ってしまうのですが、幸夫君はそれくらい冷淡に見えたのでしょう。僕も、この時は、「コイツクソだなぁ」と思いました。

 

この序盤で、幸夫君はかなりの「クズ」として描かれるんですが、それが後になって、そうでもなくなってくるんでうす。

 

 

明日は卒業式だから~

これが最後のチャンスだよ~

 

出版社とのお花見で、幸夫は気持ちよさそうに歌い上げます。

身内の不幸に付け込んでまで原稿かかせるのか?と編集者を罵倒し、物をぶつけ、怒りを露わにします。コイツ、ホント最低ですね。

 

すると編集者は、

最近の津村さんの作品は意欲とか衝動とか全然感じないんですよ、そもそもこういう事でもないと書けないんじゃないですか?

と言い返されてしまいます。

 

うわぁ~と暴れる幸夫。

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僕、この場面が、クスッと笑えて大好きなんですよねぇ。知的で真面目そうな幸夫が、酒に酔って暴れるのが、ギャップがあってスゴク面白いんです。

この辺からも、「人間のいろんな面」を表現しています。適度に笑いを取り込んでくるとは、製作陣のセンスを感じるなぁ。

 

でも、ここまで不倫に暴力と、人間的に完全にクズな幸夫君。いや~ホントどうしようもない人間ですね。

しかし、この後を見ると、意外にそうでも無いんですよねぇ.......。

 

 

もしもし、大宮です。こんにちは、こんばんは。

 

同じ事故の被害者である大宮陽一から着信がきます。その後、二人は幸夫行きつけ(と思われる)ワインバーで会います。

グラスに注がれたワインを一気に飲み「クソ美味い」と言う陽一トラックの運転手と言うだけ、やはり少しお下品な男のようです。

ところが、娘の灯がアナフィラキシーを発生。バス会社の事故の説明会の時に、「うちの嫁さん返してくれよ」と怒鳴っていたのですが、家族の事は分かっていないんです。

この人は、家族への愛は強いんだけど、その家族のことは何も分かっていないんです。この人も、ちょっとダメな人として描かれます。知的でクールな幸夫とは、ちょっと対照的です。

 

でも、この二人のミスマッチな感じに「人間だなぁ」と思わされます。何でこれほど、人間は馬鹿で愚かなんだろう?

 

その後、二人になってしまった幸夫と息子の真平君。そこで、幸夫は小学生6年生と、心を通わせていくんです。

「どこ受けるの?開成?麻布?日比谷?」と問う彼の姿からは、不倫をしたり編集者に物を投げたりする男の様子はありません。

幸夫は、実は子供接することができる、器用な人なのです。幸夫君の意外な一面を発見。この辺からも、父親の陽一とは対照的なんですよねぇ。

 

この後、幸夫はトラックの運転手で家にあまり居れない陽一の代わりに、家に来て子どもたちと心を通わせていきます。

その姿が、すご~く丁寧で優しいんです。ご飯を一緒に作ったり勉強を教えたり........。「こんな人にも良いところがあるんだなぁ」と感心させられます。

 

 

自分の遺伝子って怖い。こどもって荷物

 

子供って免罪符じゃないですか。自分が馬鹿で屑でどうしようもない奴だって事も、どうでも良くなって来るんですよ。

 

出版社の岸本が、幸夫とテレビの企画について話し合うシーンで語った言葉です。

そうですよね~自分の子供って怖いですよね。

 

無邪気で可愛いから子供を見てると、自分がしてきた悪いことも全部忘れて、許された気になるんですよね。その子供は自分の遺伝子を継いでいるっていうのに......。

僕は、もし自分の子供が自分に似たら嫌だなって思います。だから、こどもなんて要らないです。

 

池松壮亮さんがやる岸本も、しっかり存在感を出してきます。クールで、決して出しゃばらないけど、こういう役が似合うのが良いところです。 

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皆、何も考えずに結婚して子供を作るけど、一回考えて欲しいですね。

「自分の子供だけは特別で、とても良い子なんだ」とか思ってませんか?違いますよ。不完全で、時に醜いあなたの遺伝子を、しっかり引き継いでいるんですよ。

もし、「自分は何も悪いところが無いから大丈夫」なんて言う人がいたら、その人はキ〇ガイです、まじめにwww。

 

 

強い人は、大事な人が死んだら、逃げずに悲しむ

 

おっかねぇって。あいつらが居なけりゃ、俺一人で事故って死んでも良いのに.......。

 

子供に関して、陽一さんが珍しく、まともな発言をします。素晴らしいほど的を核心を突いている言葉ですよね。

子供を持つと、やっぱり辛い事もあるんだよね。多かれ少なかれ重荷というか、子供がいて100%幸せではないというか......。

僕の語彙ではどう表現したら良いか分からない。読者の皆さんゴメンナサイ。

 

そして、ここで幸夫の目には夏子が映ります。

後片付けはお願いね、と言ってこの世を去った彼女。海をバックに夏の太陽に照らされ、凄く綺麗だ。f:id:naocchi3:20170915212519j:plain

 

この時の幸夫の顔がこれ。

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あぁ、僕には愛する人がいたんだ!僕は、そんな事に、いまさら気付いたのか.......。

そんな表情に見えますね。ホントにそうだったのかは分からないけど、そう信じたいよね。

 

僕にはいないけど、愛する(すべき)人のことを、いつまでも一緒にいる物だと思って、たまに忘れてしまう事ってあるよね。幸夫みたいに、ちょっと若い子と浮気してみたり......。

 

でも、それって仕方が無いし、誰にでもある事なのよ。たまに違う味を楽しみたい時もあるでしょ。

でもね、分かれはそういう時に訪れるんだよね。そして幸夫君のように、後になってその重大さに気付いて、やっと悲しくなってくるんだよね。

 

そして、帰り際、真平君に「強い人は、大事な人が死んだら、逃げずに悲しむんだよ」と教えます。

妻が死んで、悲しめなかった自分に対する言葉でもありますね。すごく良い言葉です。悲しむって、それなりに勇気がいることですからね......。僕は強くないので、あまり悲しめないと思います。僕って人間的に浅いのかな......。

 

 

しかし、この後、喧嘩で幸夫は大宮家からいったん離れてしまう。

真平君らとも、しばらく合わなくなる。

 

 

しかし、この後ある事件が起こる。それを聞いた幸夫は、お急ぎで真平君に会いに行きます。「お父さんは絶対だいじょうぶだから.......。」と。

冷淡で、どちらかと言うと不誠実な幸夫だったが、この時の彼はそれとは全く違うのです。

 

ここで、彼が真平君に言った言葉が、また深いんですよねぇ。人間て、ポキっと折れちゃう時があるんですよね。f:id:naocchi3:20170915212637j:plain

 

 

人って面倒。愛するって難しい。

 

劇所で感じた、あの感情を上手く表現できただろうか?

たぶん、半分も出来てない。

 

あぁ、人の感情って、何でこんなに難しいんだ?

 

この映画の登場人物についても同じだ。

何て言ったら分かんないけど、曲がっていて破天荒で、それでも器用でどこか優しい幸夫。

一方、真っ直ぐで一生懸命なんだけど、不器用で上手く生きれない陽一。

 

どっちが正しいんだ?

それは、分からない。

でも、どちらにせよ、人を愛するって、一筋縄じゃ行かないね。必ずどこかで試練が待ってる。

 

ここまで、愛、家族、子供についてリアルに描写した映画は無い。

皆も観て、いろんなものを感じてくれ。

 

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