読書感想:「これが日本経済の邪魔をする『七悪人』だ!」
経済学者で、朝生などにも出演している高橋洋一さんの本を読みました。
コレ、すっごく面白かったです。
経済や政治の問題について凄く分かりやすく書いているので、誰でも楽しく読めると思います。
また、本書の中でもメディアを批判していますが、やっぱり日本のメディアって構造からおかしいんですよね...。
そんな既得権に群がるメディアを変えていけば、日本はより良い言論が広がるとでしょうねぇ~。読後、そんな風に思いました。
っつう訳で、ぜひ皆さんに読んで欲しい本です。本屋さんとかアマゾンで売っているんで、手に取ってみてくだちい。かるく読書感想を残します。
目次
知られざる新聞・テレビの巨大な「既得権益」を全て暴く!
第一章では、このようなタイトルでマスコミの強力な権力について述べています。
僕も知らない事が多く書かれていたので面白かったです。
知られざる新聞・テレビの「既得権益」の正体
新聞、テレビが安倍政権に対して、根拠なき批判を続ける理由は改憲阻止のほかに、新聞、テレビの巨大な既得権益に切り込む姿勢を見せているからだ。
政権批判さえしていれば、事実誤認に基づく、的はずれな記事を書いても平然としている。新聞の報道がウソになる原因として、
①新聞社屋のための国有地売却問題
②日刊新聞氏法という法律
が挙げられる。①は実態で、②には法律だ。
まずは、①から説明すると、日本の新聞社の多くが、財務省から国有地を安く払い下げられてもらって、社屋を建設している。これは大きな優遇措置だ。
大手町や築地、竹橋などの一等地に新聞社があるのは、このような背景がある。
②の日刊新聞紙法とは、非常にヘンテコな法律で、おそらくこんな法律があるのは日本にしかないだろう。ポイントは、新聞社は全国紙のすべてが株式会社で、地方紙も株式会社が多いのだが、その「株主は誰か」という点である。
これは商法の大前提だが、株式というのは譲渡制限がない。これは株式会社のたるゆえんと言える。譲渡制限がないから、どんなときでもオーナーが代わる可能性がある。この「オーナーが代わり得る」という点が重要だ。
つまり、オーナーは安穏としてられないのである。企業であれば、業績が落ち込めば退任させられるかもしれない。いつでも代わる可能性があるので、会社に緊張感が保たれ、きちんとした経営をすることになる。
しかし、新聞社の株式は日刊新聞紙法によって、なんと譲渡制限が設けられているのだ。制限があると、どういうことが起きるのか?
有価証券報告書を見てみると、朝日新聞は、代々、村山家と上野家がずっとオーナーとして存続してきている企業である。株式の譲渡が制限されているため、オーナーが代わることがない。このように、経営者が代わらないとなると、オーナーの意見で、経営方針を始めとする会社のすべてのことがきまってしまう。
ただ、実情は、新聞社のオーナーは現場に意見を言わないケースがほとんどだ。
すると、今度は、オーナーの次の権力者である現場の経営者が、経営のすべてを握ってしまう。絶対にクビにならない社長になるのである。
株式が譲渡されないという安泰な経営環境の中、オーナーが口出しすることがないので経営陣にはなんのプレッシャーもかからない。そうして経営トップが大きな顔をし続けることになる。
株式の譲渡制限があるため、ガバナンスが効く余地はない。株式が譲渡されないということは、新聞社は絶対に買収されない仕組みになっているということになる。
そうした新聞社が、テレビ局の大株主になっている。朝日新聞はテレビ朝日、読売新聞は日本テレビ、毎日新聞はTBS・・・・・といった具合だ。となれば、テレビ局の新聞社と同じように、コーポレート・ガバナンスが効かない構造になる。
かくして、新聞社を頂点として構成されるメディアの複合体は、既得権益の塊と化してしまうである。
海外の基準で見ても、この日本のメディアの構造は異質である。海外ではメディアも普通に買収される。経営者が代わることもあるので、それが、会社およびメディアとしての緊張感に繋がっている。
しかし、新聞社の人間で、この法律の問題点を記事で書く人はいない。
この法律が、新聞社を堕落させていることに、記者も早く気づくべきである。
日刊新聞紙法という法律で新聞社が守られている事について述べられた部分です。
まず、この法律がある事を知りませんでした。
まず、商法では、株式の売り買いは自由に出来るのがルールです。上場企業なら証券市場で売買できますし、未上場企業でも株主に直接行って売買できるのが通常です。
しかし、新聞社の株は売買が自由にできないから、買収される心配がない。つまり、会社が健全な経営を怠るようになるという事です。
メディアは「権力の不正を監視する」のが使命だと言われます。しかしこれだと、まず自分たちの事を正しく出来ませんよね?それで、「権力がー」とか、「アベがー」とか言われても困りますよね。
また、株主が変わらないという事は、経営に意見を言う人も変わりませんから、それだけ多様な意見が尊重されなくなりますよね。ある特定の人の意見だけ反映された新聞になれば、そのぶん自由な言論というのも無くなってしまうのでは?
少なくとも、言論を支配する新聞さんは、色んな株主の意見を聴ける体制にした方が良いと思いますよ~。
この新聞法の問題点を唱える人間がいないというのは、やはり新聞社も自分たちの利益を守りたいだけなんですね。
そして、新聞社がテレビ局のオーナーになっていて、さらにテレビ局は「放送法」で電波を独占的に使用しているので、さらにメディアの「既得権」は大きくなっています。メディア財閥とも言うべきでしょうか?
自由な言論を保証するためにも、まず新聞とテレビの資本関係を解消すべきです。
次に、新聞社の株も売買できるようにしましょう。
そして、電波は自由参入にして、いろんな事業者が地上波を使えるようになりましょう。
その方が、自由な言論が保障されると思いますよ。「言論弾圧だー」と叫ぶ新聞テレビのみなさん、自分たちが一番言論の自由を脅かしていることに気付いてますか?
このあと、新聞社やテレビ局の既得権益の大きさを、財務諸表でさらに説明しています。この辺も読んでみると面白いですよ。
もはや”労働者の敵”となってしまった「リベラル政党」の大罪
第二章ではこのタイトルで「リベラル」の罪を紹介しています。
「日本経済」というタイトルらしく、ここでは経済と直接関係するトピックを多く扱っています。
ここでは、日本の「リベラル」について述べられているのですが、すごく興味深い内容です。多くの人が今まで知らなかったことが多いですよ。
日本の「リベラル政党」の特殊性
新聞、テレビの次に、3つ目に取り上げるのが「リベラル政党」だ。
自民党が圧勝した2017年10月22日の総選挙において、飛び交っていた言葉の一つに「リベラル」があった。
現・立憲民主党の枝野幸男代表は、選挙直前に希望の党の小池百合子代表から入党を”排除”された後、すぐに民進党を飛び出し、立憲民主党を設立して選挙に勝った。いまや、野党第一党の党首でもあり、日本の”リベラル勢力”の希望の星といっていい存在だ。
かつて、筆者はその枝野氏と、テレビ番組「朝まで生テレビ」で直接議論したことがある。論点は経済政策で、枝野氏は、「金利の引き上げによって経済成長を目座す」ということを真顔で述べた。
この論は、経済学者からすると荒唐無稽な理論で、すぐに間違いであることを説明したが、枝野氏は頑として譲らなかったことを鮮明に覚えている。
今後、枝野氏が日本の首相になることがあって、経済成長のためにきんrにの引き上げを行ったら、間違いなく経済は失速し、失業率は上昇するだろう。
このエピソードを紹介したのは、政治家が経済政策について無知であることに言及するためではない。そんなことは、すでに十分知れ渡った事実である。
問題視すべきは、金利の引き上げは経済成長を阻害し、雇用の創出を難しくする政策であり、それを声高に主張することは、欧米の政治の基準ではリベラル政党の政治とはいえない、ということだ。
ここでは枝野さんの経済政策にまったく疎いことが述べられています。
景気が悪い時には、金利を下げて回復させて、景気が良い時には金利を上げて抑制するのが普通です。
リーマンショックの不況から民主党政権で、株価は下がりましたし、求人倍率も1倍を切っていました。
本来なら民主党政権の時に、今のような金融緩和政策を実施して景気を刺激するべきでした。しかし、現実の政策は逆でした。やれやれ、政治家は何をやっているんだ?って話ですね。
んで、この枝野さんの政策は、実はリベラルとはかけ離れた政策だという事です....。
これはどういう事でしょうか?次の部分で述べられています。
欧米の政治的な基準では、リベラル政党がなによりも目指すべきは「完全雇用」が達成されている社会である。
完全雇用とは、働く意志とその能力のある人が全員就業している状態のことで、経済学では、完全雇用は金融政策によって実現できるとしている。
実際の政策は、もちろん金利の引き下げだ。これは経済学の基本中の基本である。したがって、先の枝野氏の主張は、二重の間違いを犯している。
ひとつは、経済政策としての間違い、もうひとつは、リベラル政党としての主張の間違いだ。
金融政策によって雇用状況がかなり改善されてきた現在でも、まだその実績を素直に認めず、的外れな批判を続けている。
いや、金融政策だけではない。経済成長や財政政策でも、欧米のリベラルとは異質な主張を繰り返しているのが、日本のリベラルの勢力なのである。
政治的にグローバルから外れた存在と言えるだろう。
お~これは知らなかったなぁ...。この本を買ってよかった。
確かに、リベラルというのは言い換えると、「労働者の政党」ですからね。
労働者の雇用を阻害するような政策を唱える連中は、リベラルとは言えませんよね。
枝野さん、あんたヤバいよ。
んで、この後の部分では、「そもそもリベラルって何?」とか、「日本でいうリベラルってどこなの?」とか、そんな事が書かれています。ここも多くの人は知らないと思うんで、めっちゃ面白いですよ。
その他にも面白い事がいっぱい。
この記事では、本書の中でも、メディアとリベラル野党の罪について述べている部分を引用して紹介しました。
それ以外にも、様々な日本の悪党を紹介し、批判しています。多くの人が知らない事が多く書いてあるので、面白いですよ。
んで、思ったんですが、やはり本物の悪人と言うのは、実は身近に潜んでいるものではないのでしょうか。
メディアとか政治家とか役人とか、そういう人間たちが、実は自分たちの利益を守るために、色々と汚い方法を使っているのではないでしょうか?
特に新聞社がそうですよね。本来ならあり得ない新聞紙法という法律で守られ、様々な利益を得ているクセに、「公権力が~」とか「言論を壊すな」とか、変な事を言いだします。テレビ局との資本関係によって言論の幅を狭めているのは自分たちなのに....。
時にはありもしない疑惑を記事にして部数を伸ばそうとするとか、凄く卑劣ですよね。ホントに悪いのはどっちだよ?って感じです。
これは以前読んだ佐々木俊尚さんの本にも書いてあったのですが、やはり誰かを絶対悪と決めつけて一方的に叩くのは危険なんですよね。
大体、絶対悪というのは存在せず、むしろ相対的に悪というのは存在するのですが、最近の新聞の論調だと、「〇〇がー」という論調が強いです。
んで、自分たちは色々と既得権で得をしているという....。メディアはホントに信用できませんね。
やれやれ、皆さんも、こういう奴らには気を付けましょう。
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