ニートの平日

地方国立大卒ニートの生活記録。「え、ニートに平日も休日もないだろ....」という下らない日記です。

読書感想「未来の中国年表」 中国の未来を知りたければ読んでみると良いかも。

8月の朝生に登場していた近藤大介さんの本を買って読んでみました。

 

中国について書いた本は、けっこう右左に偏った本が多い感じですが、本書は中国の良い所と悪い所がバランスよく書かれています。

 

日本も人口問題が深刻ですが、著しい成長を遂げた中国にも、それは訪れます。

 

中国という国を知るのに良い本だと思うので、軽く読書感想を書きます。

 

未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること (講談社現代新書)
 

 

  

 

「お一人様の日」で大儲け

 

この「剰男」に目を付けて、ビッグ・ビジネスに変えたのが、アリババ・グループ阿里巴巴集団)の馬雲会長だった。1999年に浙江省省都杭州で、「中国初のインターネット通販」を始めたアリババは、創立10周年を記念して、2009年の晩秋に、新たなイベントを始めた。それは、「1」が4つ並ぶ11月11日を、「お一人様の日」(光)と定めて、結婚できなかったり、彼女鵜亜彼氏がいない若者たちに、24時間限定の大規模な割引セールを行ったのである。裏を返せば、そういった寂しい人たちこそが、自宅でパソコン相手に買い物をする(当時はまだスマホは普及していなかった)客と見て、新規顧客の掘り起こしを狙ったのだった。

 

(前略)この初年のイベントには、2のアイテムを販売し、5200万元(約8憶8000万円)の売り上げがあった。

 

ここでは中国の大手EC企業の「アリババ」のビジネスについて書かれています。

凄く面白い事をしますね。

 

中国では、一人っ子政策の影響で、その世代の人の男女比率が偏っているそうです。

男子が多くなってしまった結果、結婚したり交際したり出来ない男子が増えました。

その結果、我々のような「お一人様」の男性が増えてしまったそうです。

 

アリババはここに目を付けて、11月11日を「お一人様の日」と名付けて、そんな一人者をターゲットに商売を始めます。上手いですねぇ...。

 

「そういった寂しい人たちこそが、自宅でパソコンを相手に買い物をする」というのは、ホントにその通りだと思います。

 

皆でワイワイ楽しい事をしている人たちは、そもそもあまり買い物をしないでしょう。

寂しい人の方が、一人で居る時間が長いので、それを紛らわすために買い物をするのだと思います。

 

僕もそうですが、けっこうアマゾンで気になる商品を眺めているんですよね。

そういう所に気付いて、ニーズをしっかり捉えて、ビジネスを展開するアリババの作戦がスゴイと思いました。

 

日本の楽天もこういうのやってるのかな......。いずれ、楽天ももう少し頑張らないと、アマゾンやこのアリババに飲み込まれてしまいまいすよ。

 

それくらい、アリババの力は凄いなぁと感じました。

 

 

クレジットカードは時代遅れ?

 

中国人の消費に関して特筆すべきは、スマホ決済(スマートフォンによる決済)が主流になりつつあることだ。

 

2018年の年初の段階で、テンセントが扱っているスマホ決済システムのWeChatPayの登録者は、約8憶4000万人。アリババが扱っているAlipayの登録者が、約5億2000万人いる。2社合計で13憶6000万人。重複している人も少なからずいるが、累計では、ほぼ中国の人口に匹敵する。

 

中国でこれほどスマホ決済が普及したのには理由がある。

 

まず第一に、人民元という紙幣は、もとも信用価値が低かった。100元(約1700円)札のニセ札が大量に出回っていたため、中国人民銀行中央銀行)は、それ以上の高騰紙幣を作れなかったほどだ。

 

中でも一番の問題は、店員にクレジットカードを渡した時に、磁気を読み取られて、不正使用されることだった。「信用カードは信用できない」と言って使わない中国人も、周囲には多かった。

 

そんな中国では、紙幣とクレジットカードを飛び越える格好で登場したのが、アリババとテンセントが導入したスマホ決済だったのだ。やや大げさな言い方をすれば、中国で初めて、「信用できる決済」が現れたことになる。しかも便利なので、一期阿成に普及していった。

 

だが、日常の消費生活を、何もかもスマホ決済で済ませると、自動的にあらゆる個人の消費情報が、テンセントやアリババにストックされることになる。中国は、共産党政権がすべてを{指導}する社会主義国家なので、そうした情報が共産党政権に流れるとは、容易に想像できる(両社ともこのことを正式にひていしたことはない)。

 

さて、次は中国で流行っているスマホ決済についてです。

中国は非常に現金の比率が少ないそうです。でも、現金って面倒だし、コストも掛かるから、その方が良いですよね。

 

しかし、そのスマホ決済が流行ったのは、やはり中国らしい理由がありました。

偽札が横行したり、クレジットを不正利用されるからというのは、中国らしいですね。

でも、その結果、すごく便利なモノが出てきました。中国では初めて信頼できる決済手段が出て来たということで、一気に普及したのかな。

 

一方、日本でも電子決済は始まってますが、根強い現金主義者も多いですね。

実際、サイゼリヤ串カツ田中などの人気店の中にも、現金のみ所がありますからね。

それは、中国とは逆に、クレジットや円の信用が高いからでしょう。保守的な国民性もあって、スマホ決済が一般的になるのは、まだ先になりそうですね。

 

そのスマホ決済サービスを提供しているのがIT企業のテンセントと、さっきも出て来たアリババです。

その会社のサービスを使うという事は、つまりデータも溜まっていきます。そのデータを使って新たなビジネスを展開できれば、この二社は更に業績を伸ばしていくでしょう。

 

アマゾンも「アマゾンペイ」を提供しています。けっこう前から提供しています。

が、ECサイトだけでなく、コンビニなどでも使えるようになれば、アリババやテンセントに対抗できそうですね。

実際、世界的にはアマゾンの方がユーザーあ多いでしょうし、安心感も高いです。

アリババなどは、やはり中国の会社がやっているという不安感もありますから、そこがネックになりそうです。

 

そして、アリババやテンセントが得た情報は中国共産党に流れると筆者は指摘しています。それは確実でしょうねぇ。

全ての情報を共産党に握られる事に不信感を抱く中国の人もいそうですね。

その辺も影響してきそうですね。その結果、客がアマゾンに流れたりするかも....。

 

中国でのEC戦争はどっちが勝つのか?この辺も楽しみです。

 

 

スマホ決済の履歴で個人に優劣がつけられる

 

中国では、スマホ決済に続いて、「プライバシーの点数化」の動きまで広がっている。

アリババは、2015年1月から、ビッグデータクラウド計算を利用した「芝麻信用」(ゴマ信用)というサービスを始めた。これは、ゴマ信用が中国人一人ひとりの日々の消費動向をを採点していく。そしてそれぞれに、350点から950点までの「信用分」(信用点数)をつけるというものだ。

「芝麻信用」の公式HPによれば、評点の基準は、以下の5点である。

 

信用履歴・・・・・過去の個人の通帳記録の履歴

行為動向・・・・・ショッピングや各種支払い、理財活動などの動向や安定性

支払能力・・・・・安定した経済源と個人資産

身分特徴・・・・・個人や学歴や職業などの情報

人脈関係・・・・・友人などの信用度

 

つまり、有名大学を卒業していたり、上場企業に就職していたり、レンタル。サイクルをルール通りに返却していたり、高級レストランで会食していたり、富裕層に友人が多かったりすると、自分の点数も上がっていく仕組みだ。逆にそうしたものが足りなかったり、社会ルールを乱す行為を行ったりすれば、点数は落ちていく。

 

「芝麻信用」では、個人を5段階に分けている。350点から549点が「ダメ人間」、550点から599点が「普通人間」、650点から649点が「良好人間」、650点から699点が「優秀

人間」、700点から950点が「超優秀人間」である。「普通」以上になると、ホテルのチェックイン時に保証金が不要だったり、飛行機のチェックインで優先的に搭乗できたり、賃貸住宅にスムーズに借りられたりといった恩恵を受けられる。

 

この「芝麻信用」は何と個人間でも使われている。例えば、ある初対面の会社同士が商談する際、互いの社長が自分の「信用点数」を見せ合って、信用できる人間であることを示すといったことが行われている。実際、私も2018年4月に北京で会食した初対面の会社社長に、名刺と共に「798点」と記された自身のスマホを見せられた。

 

こうしたスマホ決済は、中国で今後、さらに多様な方向に応用されていくだろう。日本が「おもてなし文化」に安住している間に、中国の先端サービス文化が、はるかに進化を遂げていくのは確実である。

 

この辺は、日本でもよく提唱されている「信用経済」的な話ですね。

買い物などのデータを元に個人に点数を付けて、より便利な社会を作ろうという意図があるのでしょう。

 

確かに、スマホでサッと点数を見せ合えれば、信用できる人間かどうかをある程度判別できるでしょう。点数が明らかに低ければ、その人とは関わらなければ良いですから、便利ですね。

 

しかし、コレは色々反発がありそうですねぇ。人権擁護派からは「個人を点数で管理するのは人道的におかしい」という批判があるでしょう。

また、「点数にできない部分」をどう評価するのかも問題になるはず。性格とか容姿の良さとか、そういう事はどうするんですかね?

 

ただ、中国政府は国民を管理していく事に躊躇しないでしょう。

アリババなどがストックした情報を利用して、さらに強い権力を握っていくでしょうねぇ。

その結果、中国はとてつもない監視社会に発展していくのかな。それは僕も微妙だと思いますけど。ただ、それは世界が経験したことが無い事でもあるので、楽しみでもありますね。

 

最後に筆者は日本と比較しています。

「おもてなし」とかやってる場合じゃないぞと言っているのでしょう。

確かに、日本の電子決済とかの進歩を見ていると、遅れているという印象です。

また、過度なサービスなども、見直されるべきだと思います。

 

コンビニやファミレスなどでも、未だに給料に見合わない接客が求められます。それは日本独特の「おもてなし」が由来しているのでしょう。

「おもてなし」は良いですが、不要な所でもそれが求められるのは、社会の進化を止めてしまいます。

 

僕は常々、飲食店の店員って要らないと思ってます。注文はタブレットでやれば良いし、持ってくるのも自分でやれば良いでしょう。第一、人間がやる必要なんて無い訳ですし。

そういうのも部分的に廃止して、機械などによるオペレーションを進めて、効率の良い社会を作って欲しいと思ってます。

日本が世界の中で生き残れるかは、その辺が大きく関係してくるでしょうと筆者は言っているのだと、僕は解釈しました。

 

 

「還暦以上」が五億人!

 

ともあれ、その香港の完全変換から2年3カ月後の2049年10月1日、中国はもう一つの重要記念日である建国100周年を迎えるのである。

 

これも前章で述べたことだが、建国100周年は、習近平主席が常々唱えている「二つの100周年」の後半部分にあたる。すなわち、一つめの100周年である2021年7月1日中国共産党創建100周年までに、アジアでナンバー1の地位を確保する。そして二つ目の100周年までに、アメリカを超える超大国として世界に君臨するという「中国の夢」を実現させるのだ。

 

この本は中国の人口について書かれた本なので、それに関連した部分も紹介しておきましょう。

 

2049年、中国は建国100周年を迎えます。それまでに色んな事を仕掛けてきそうで怖いですね。

 

 

だが今世紀半ばの中国は、「吉事」ばかりに囲まれるとは限らない。なぜなら、中国の人口学者たちも警鐘を鳴らしていることだが、このまま進めば中国は2050年頃、人類が体験したことがない未曽有の高齢社会を迎えるからだ。『世界人口予測2017年版』によれば、2049年の中国の人口は13憶7096億人で2050年は13憶6445万人。これは、2011年の中国の人口13憶6748万人、及び2012年の13憶7519万人と同水準だ。

 

だが、2010年代の現在と、2050年頃とでは、中国の人口構成はまったく異なる。『世界の人口予測2015年版』によれば、2015年時短での中国の人口構成は、0歳から14歳までが17・2%、15歳から59歳までが67・6%、60歳以上が15・2%、そして80歳以上が1・6%である。

 

それが2050年になると、激変する。0歳から14歳までが13・5%、15歳から59歳までが50・0%、60歳以上が36・5%、80歳以上が8・9%なのである。

 

これを人数で表せば、2050年の中国の60歳以上の人口は、4億9802万人!80歳以上の陣子は、1億2143万人である。つまり、「私は還暦を超えました」という人が、約5億人という巨大な数に上るのだ。かつ「傘寿を超えました」という人が、現在の日本の総人口にほぼ匹敵する数となる。まさに未曽有の高齢化社会の到来である。

 

しかし、そんな中国ですが、物凄い問題とも向き合わなければいけないようです。

 

人口はそんなに変わらないけど、高齢者の割合と人数がとにかく増えるようです。まぁ、これまで急激に成長してきたので、仕方が無いことなのですが。

 

それにしても、約5億人の高齢者が存在する国というのは、今までに無かったですからねぇ。

 

ただ、本書でも述べられていますが、中国はAIの開発に力を入れているで、2049年までにどうにかなるんじゃないですかね。というのが僕の感想です。

 

政府は潤沢なお金を開発者に投資できるでしょうし、まだ30年くらいあります。生活に欠かせない場所には、高齢者でも問題なく生活できるシステムが整備されているのでは?と思ってます。

 

ただ、著者は「AIが発達しても明るい未来は描きにくい」と述べています。著者はAIの専門家ではないので何とも言えませんが、僕はそこまで悲惨な事にはならないと思ってます。

 

そして、健康状態も良くなっていでしょう。

今よりも若くて普通に生活ができる60歳以上の人が多いと思うので、そんなに問題ないんじゃないかな....。

 

ただ、それまで共産党政権があるかは分かりません。

今でも暴動が絶えないようですし、天安門事件のようなことが二度と起こらないとも限りません。その辺も本書で書いてます。

 

 

 

あまり引用しすぎると著作権法違反になってしまうのでこの辺で。

他にもいっぱい面白いことが書いてあります。中国について知りたい人とかは読んでみると良いでしょう。

 

未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること (講談社現代新書)
 
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