ニートの平日

地方国立大卒ニートの生活記録。「え、ニートに平日も休日もないだろ....」という下らない日記です。

『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』 これ以上社会を”進歩”させることはメリットがあるのか?

なおっちです。ニートの休日を謳歌しながら、ブログで生き恥を晒しています。

 

さて図書館で面白い本を漁るのが好きなんですが、こんな本がありました。

健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて

健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて

  • 作者:熊代 亨
  • 発売日: 2020/06/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

精神科の先生が書いた思想本です。

現代の日本社会は健康かつ清潔になり、犯罪も減りましたが、それ故に生き辛く、社会に参加するハードルが高くなっている、という趣旨の本です。

 

街はキレイになりましたし、禁煙の場所も増えましたね。治安も良くなりました。とても良い社会になりました。ところが、それ故に、無駄に社会が不寛容になっている、という側面もあります。本書の主張はそんな感じなのですが、僕個人もそのように感じています。

 

最近は何をするにしても、色々と審査されるようになりました。バイトをするにしても面接をして、場合によっては不採用になることもあります。大学生の時とか周りを見ていてもバイトに落ちる人は多かったですね。以前みたいに簡単に日銭を稼ぐみたいなことが、難しくなっていると感じます。

それは、社会がより健康的でキレイなものを求めるようになったから、ではないか?(と個人的には思っています。)バイトくらい、とりあえず誰でも入れてやって良いだろ、と個人的には思いますがね。ダメならすぐにクビにすれば良いんだし...。

 

街を歩いていても、怪しければ通報とか、平日の昼間に男が一人で歩いていたらスグに職務質問が飛んで来るとか...。よく聴く話です。おいおいおい、平日の昼に男は歩いてはいけないのか?この国は北朝鮮か何かか?その社会が良いとは、とても思えないのですよ。ドキュメンタリー監督の森達也によると、この傾向はオウム以降に強くなった、とか。

 

naocchi3.hatenablog.com

 

オウムが出来て、数々の事件を起こした理由は、「若い人が社会に居場所が無かったから」とも言えます。ちょっと引用します。

 

宮台氏は「確かに松本死刑囚は社会に対する怨念を持っていた可能性があり、それによって社会の周辺、あるいは外側に出てしまったのだと思う。それが何と結びつくと"教祖"になってしまうのか、僕も知りたい。だが、そういうことのできる役人はいないだろう。ただ、ネトウヨを見れば分かるように、社会に漠たる怨念を持っている人たちは今もいるし、地下鉄サリン事件から10年後の2005年くらいから、若い人が宗教団体に入るケースはどんどん増えている。生きづらいけど、そこに行けば仲間がいて正直になれる。演技しないでいられる。教団幹部とは違うかもしれないが、今の若い人たちも負け組にならないように、落ちないようにと必死で生きていて、不安があるという点では同じだ。LINEの既読プレッシャー、キャラクターを演じ、KYにならないようにして、怯えながら生きていいる。性愛からも退却、"意識高い系"のような演技空間の中で日常を生きるのがどれだけ楽しいのか。この社会はクズだ、クソだと思うヤツがたくさんいても不思議ではない」と指摘。

宮台真司氏「似たような事件は必ず繰り返される」松本死刑囚を知らない若い世代が知るべきオウム真理教 【ABEMA TIMES】

 

現代社会は、社会に参加するハードルが高くなっています。求められる健全さ、綺麗さ、モラルなどの社会的レベルが、どんどん高くなっていると。それゆえ、社会に参加できない人間を増やすということは、オウムのような団体に入る人間を増やすことにもなりますよね?

そこまで世の中は、あらゆる面で整備されていなければいけないのか?その結果、社会に参加できない人間を増やして、その結果として社会は悪くなっていくのではないだろうか..。今で言う「無敵の人」が、団結でテロを起こすみたいな事もあり得るかもと。実際、「キモくて金のないオッサン問題」を危惧してきた人もいましたし...。

 

確かに犯罪が減るのは良いことです。しかし、それと社会に参加できる条件を厳しくするのは、相反してしまうのでしょうか?社会を不寛容にすればするほど、今度はオウムのような揺り返しが起こるのではないか、と。実際、最近でも京都アニメの事件とかもありましたし....。京都の事件が「社会に参加できなかった人間の犯罪」と断定する訳ではないですが。

 

街を歩いていても、再開発が進んで便利で綺麗になってきています。しかし、何もここまで街が整備されていないといけないのか、と思うことが凄く増えました。

特に東京の街がそれです。渋谷など、色んな場所で再開発が進んでいます。しかし、アレだけ整備されて、これ以上なにかする事があるのかと思いません?

あらゆる場所をコンクリートで埋め尽くして、どこもかしこも"整備された"場所にして、人々に休む暇も与えないような街にする事が、果たして良いのか?これから人口が減る国で、そんあ必要あるのか?むしろ、今の日本に必要なのは箱物とか道路ではなく、人への投資じゃないでしょうか。

 

本書は少子化問題についても言及しています。社会が健康的で清潔なものばかりを追い求めた結果、子供が減っているのではないかと。

 

現代の日本は、十分すぎるくらい「健康的で清潔で道徳的で秩序ある社会」になっていますよ。犯罪だって戦後最小レベルですし、先進国と比べても十分に低いんです。だから、これ以上そういう社会を目指すのは、そもそも出来るのか、出来たところでメリットがあるのかと、微妙に思いますけどね。

 

 

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