読書感想:『消えた子供たち』闇に埋もれていく子供の実態に驚いた。
社会との関係を絶った子供たちとその親の悲惨な状況を、実際の取材を基に述べている。
自分とは関係ない世界だと感じるけど、こういう子供や親は意外と身近にも居るんだよね。
読んでいて若干暗くなるけど、現代の闇を知るには良い本だと思う。
親が精神疾患になってしまった少女の部分を引用。軽く読書感想を残すぞ。
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<毎日ご飯の心配ばかり>
病気になった母親は、その後入退院を繰り返すようになり、マオさんたちの生活はさらに困難を極めた。働けるような状況ではないため生活保護を受けていたが、そのお金もきちんと生活費に回ってこなかった。母親は不安を紛らわせるため酒に頼るようになり、マオさんが目を離したすきに外にお酒を飲みに出かけ散財してきてしまう。
(中略)
「自分たちが生きていくためにお金を隠すんですよ。三食のご飯になんぼ使って、明日一日を乗り切ろうということを毎日考えていて、寝るに寝られないんですよね。毎日、明日のご飯のことをずっと考えている日々でした。(P109)
母親がうつ病になってしまった少女の話。
親が鬱になってしまうと、色々と問題が起こるよね。働ける人がそうなると特に困る。
生活保護とか貰えるなら良いけど、このマオさんの母親のようにストレスから散財に走ってしまう人も多いみたいだし。中学生が毎晩食事の事を考えて寝られないなんて。本当に悲惨。
それに、このマオさんの場合は母子家庭だったみたい。子育てと仕事の両方をするのは疲れるよね。むしろ、鬱にならない方が無理かも。
<保護のきっかけは母親の逮捕>
そんなマオさんの生活が変わるきっかけは、母親がタクシーの無賃乗車を繰り返し、警察に逮捕されたことだった。それまでマオさんは施設に入ることを拒んでいた母親が刑務所に入り、一緒に暮らせなくなったので、施設に保護されるようになったのだ。(後略)(P121)
お母さんが逮捕されたことで、辛い生活から解放されたなんて、少し皮肉。親が逮捕されるってだけでも結構辛いと思うな。
<それでも母親が好き>
精神疾患の母親に振り回されてきたが、マオさんは母親を恨んではいないという。母親のせいでこんな生活を強いられている。母親がいなかったらよかったのに、と思うのも当然だろうと勝手に想像していたのだが、そうではなかった。(P122)
そこまで迷惑かけられたら嫌いになりそうだけどな。おそらく僕ならそうだと思う。そこまで強くはなれないなぁ。マオさんは強い。
<精神疾患を抱える親の事情>
メンタルヘルスに問題がある親は、自分自身が日常生活や対人関係で苦労をしている場合は多く、それが子育てにも影響しやすい。自分は上手くやれていないと思い込み、地震のなさから孤立しやすいという。(P126)
親が自分の殻に閉じこもってしまうと、子供も一緒にその殻の中に閉じ込められてしまいがちになる。子供が保育所や学校に通うためには、日常の生活リズムが整い、安心して登校できる環境が必要だ。(P126)(後略)
特に最近はブラック企業などの問題が多い。子供を育てながら、働く親で、精神を病んでしまう人は多いと思う。
今までは、まともに子供を育てられない親はダメな奴だと考えていたけど、必ずしもそうではないんだね。あぁ、もちろん最初から育てられない人は問題外。
東京などでは、保育所の定員が足りなくて困っている親も多い。こういうのも、子育てをする親が消耗してしまう原因になっていると思うな。
親が何も出来なくなると、子供の生活も難しくなる。流石に子供だけで全部やるというのは無理だ。
親が精神疾患になった時のサポートが、これから必要になると思う。
この本には、何らかの理由で社会との関係を絶たれた子供の実態が書かれている。生活のために犯罪をする子供や、虐待を受ける子供など。読んでいても、ホントに悲惨な状況なのが分かる。
そして、その問題の中には、単純に解決できない問題も多い。
最近は経済的に貧しい親子が多いね。親の収入が良くないとか、子供が大学に行くために多額の借金をしたりとか、、、。
そのような関係で、子供は社会から消えていくのだろう。
そんな子供が居なくなるようにするには、どうしたら良いのでしょうか?考えてみる、良いきっかけをくれる本だった。