映画「ゆれる」を見て。長男とか兄弟とか家族とか、色々考えさせられるよね...。
映画の「ゆれる」を見ました。アマゾンの100円セールの時に買ったやつでした。
西川美和監督らしく、人間とは何か?的な核心にせまる内容でした。やっぱり、映画とはこういうものを言うんでしょうね。ちゃんと演技が出来る役者に、しっかりしたストーリーで面白かったです。
ストーリーは、オダジョー演じる弟の「たける」と、香川照之演じる兄貴の「みのる」が、自分たちの実家のガソリンスタンドで働いている「ちえこ」と三人で川へ遊びに行くが、吊り橋からちえこが落ちて死んでしまい、その事でみのるが逮捕され、兄弟、家族の関係が崩れていく...。的な感じです。
アクションとかサスペンスではなく、日常的に発生しそうな所を描いてる、非常にリアリティのある映画です。
是枝さんとか園子温さんとか、あとは白石和彌さんとか、そういうリアルな日常的な映画を作るのが上手いですよね。最近、園さんはあまりマトモな映画は撮っていないようですが、今度まら冷たい熱帯魚みたいなのを撮って欲しいですね。
ほんで、この映画では、兄貴の香川照之演じる「みのる」が逮捕されて、そのあと違う顔を見せて来る所が大きなポイントです。
それまで、弟にも優しくて、父親の家業を継いで、真面目に暮らしていたみのる。しかし、事件のあと、逮捕されて裁判が始まると、兄貴はまるで別人のような人格を見せます。
弟のたけるが面会に来ると、「もうあんな家に戻りたくない」とか、「仕事をして家事をして、それが終わると親父の講釈を聞いてウンザリなんだよ」って言ったり..。それまで、良い人で真面目に、特に愚痴もこぼさずやっていた兄貴が、突然こんな事を言いだすんですね....。
このみのるさんは長男で、おそらく「家業を継ぐのが当たり前」とか「親の面倒を見るのが当たり前」的な感じで、子供の頃からずっと生きて来たのでしょうね。
それで、彼はその通りにずっと生きてきました。家業も継ぎましたし、親と一緒に暮らしています。しかし、彼は、そんな暮らしが、ずっと不満だったと言うのです。
やれやれ、この辺って、長男である事の宿命を感じますよね。「親の面倒を見るのが当たり前」とか「家業を継いで当たり前」とか、そういうのって、本人からすればわりと迷惑なんだろうね、って思う訳ですよ。
みのるには、本当はやりたい事があったかもしれないし。事実、弟のたけるが楽しそうに自由に生きている事を羨むセリフもあります。それを見ると「俺だって自由に生きたかったんだよ」的な気持ちを感じる訳ですね、はい。
みのるのような人間って、良い人を演じるというか、小さい頃から教え込まれている「当たり前」的なモノに潰されてしまったんだろうなって思うんですよ。ホントはこれをしたいのに、あぁいう風にしたいのに、って思っているけど、自分でそれをするのはなかなか難しくて、いつの間にか”普通”に生きる事を選んでしまって....。
でも、それが切れたって、やはり怖いですよね。そういう人が切れると、何をするか、分からないモノですからね...。
僕も、一応は長男なんですね。もし、僕の家が何かの家業を持っていたら、どうなっていたか...。いや、家に商売があるって良い事だし、ニートの僕としては、就職活動をしなくて良いなぁって思うんだけど、一方で、将来を限定される感もまたするのよね。「君はこれをするんだよ」的な。
大学を出て、就職をして、普通に遊んで的な暮らしを求めている人にとっては、それって嫌なんだろうな、と。おそらく、みのる君も、ホントはそうしたかったんじゃないかな、って思うのよ。
長男とか、兄弟とか、家族とか、いろいろ考えさせられる作品ですな。もし、自分が長男で、家業を継ぐ立場にある人とかは、凄く心に刺さるはずで~す。
と言う事で、僕は視聴期間が過ぎないうちにもう一度みます。やれやれ...。アマゾンのビデオのレンタル期間が48時間なんですよね。どうにかならないかなwww...。