ニートの平日

地方国立大卒ニートの生活記録。「え、ニートに平日も休日もないだろ....」という下らない日記です。

「思考は現実化する」と言っていた大学時代の知人は、第二地方銀行に就職した。

f:id:naocchi3:20190321114828j:plain

 

初めに言っておくが、その知人を馬鹿にする目的でこの記事を書いている訳では無い。

就職して、ちゃんとお金を稼いで、税金も納めて、社会を回している事には尊敬するし、ニートの僕が偉そうに何かを言える立場では無い事も分かっている。

あくまで、自己啓発の意味の無さを実感した、というだけだ。

 

僕には、友達とまでは行かないが、ちょっとした知り合いがいた。

大学の同じゼミで、ビジネスなどに少し興味がある人間だった。

その彼(以下、ビジネス君。バカにしている訳ではなく、あくまで便宜上)は、けっこう意識を高く持っている人間だった。

交友関係も豊富で、コミュ障で性格が悪くて友達なんて一人もいない僕とも、ちゃんと話してくれたし、すごく病んでいた僕には、彼と話すのが少し救いでもあった。

 

ただ、少し嫌なのが、「人の悪口を言うな」と言ってくる事だった。彼いわく、「運が逃げる」。

僕はそれほど幸せな人生では無いし、出来れば他人の幸せを見るのは嫌だった。だって、自分が幸せじゃないのに、他人の幸せなんて祝えないし、上手く祝えないと文句を言われるからだ。せめて、他人の悪口くらい言わせてくれ。

まぁ良い。彼は特に破綻することなく、それまでもマトモな人生を送っているようだった。事実、彼はちゃんと就職している。

僕に比べれば、マトモなのは明らかだ。いちおう、その時は、いう事は聞くことにした。「そうだね」とテキトーに誤魔化しておいた。

 

ビジネス君は読書も好きで、「人を動かす」とか「金持ち父さん貧乏父さん」とかを読んでいた。ホリエモン氏の「本音で生きる」も好きだったようだが、僕も中古で買って読んだ。

確かに面白かった。彼と会った時、読んだ本の話をするのは、わりと楽しかった。

 

そして、彼は、ナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」も読んでいた。

自己啓発の元祖、総本山とも言える「思考は現実化する」。どういう意味合いで言っているのかは分からないが、いずれ、そのタイトルに若干の違和感を覚えていた僕は、別に自己啓発を否定する訳ではないが、その本だけは微妙に避けていた。

 

だって、全ての思考が現実化したら、そりゃ大変だろ?

まず、思考が現実化するなら、「金持ちになりたい」って思っている人間の思いが全て現実化する事になる。僕は常々、金持ちは偉いと思っているし、自分も金持ちになりたいと思っている。常に、毎日だ。

しかし、僕は金持ちになっていない。それどころか、普通に働けないくらい心を病んでいる。さて、これはどういう事か?

そして、全ての思考が現実化したら困る。世界を崩壊させたい人間たちが、それを思考するだけで現実化できるなら、世界は何回やり直しても足りないだろう。

北朝鮮や中国の人間が「日本を滅ぼしたい」と思っていても、それが現実化したら、日本人としては溜まったものではない。

そんな大げさなレベルではなくても、例えば「あの人と付き合いたい」とか、「彼女と結婚したい」と思っても、実現しない事の方が多いだろう。日常生活レベルでも、思考が現実化するケースは、そうは多くないのだ!

 

さて、思考は現実化する、というのはかなりムリがあるのは分かってもらえただろうか?

 

そんで、ビジネス君だが、大学を卒業する直前に知ったのだが、彼はどうやら地元の第二地方銀行に就職していたらしい。

いや、立派だ。一応は、東証一部上場企業だ。スゴイ!上場企業勤務の肩書は、ほとんどの労働者が手に入れたいだろう。それを、彼は新卒で手にしてしまったのだ。

 

しかし、意識が高くて「思考は現実化する」と言っていたビジネス君。

果たして、彼の思考は、本当に現実化したのか?

つまり、彼の思考は「第二地方銀行に就職したい」だったのだろうか?

おそらく、違う。彼ほどビジネスに関心があり意識の高い人間が、第二地方銀行に行きたいと願うなんて、まずあり得ない。

きっと、東京に本社がある会社に行きたかったはずだ。

 

やれやれ….。彼は常々、僕に「悪口を言うな。運気が下がる」とか、「マイナスの事ばかり考えていると、その通りになる」と言って来た。

確かに、そうかもしれない。他人の悪口を言っているから、僕はこんなになってしまったのかもしれない。事実、他人の悪口を言っている人は、ストレスが掛かるらしい。

 

しかし、「他人の悪口を言うな」とか、「マイナスの事は考えるな」と言っている君は、どうなのか?

その結果が、第二地方銀行に入る事なのか?僕はここに、強い疑念を抱く。

 

結局のところ、「思考は現実化」しない。現実化するのは、正しい努力をしたうえで思考をした場合のみだ。

適正があるうえに、正しい努力をすれば、だいたいの夢は叶う。思考もある程度は現実化する。

しかし、そもそも何かに対して適性がある事に気付くのが、まず大変だだ。そして、その上で正しい努力をするのは、もっと難しい。大体の人間は正しい努力が出来なくて、挫折してくのだから。

 

僕はビジネス君の事は、まったく嫌いでは無い。彼は僕の事を何と思っていたかは分からないが。

暗くて友達もいないダサい奴だ、と思っていたかもしれない。しかし彼から、そんな態度を感じた事は無かった。

少なくとも、僕は彼と話している時間は楽しかった。大学4年時、既にかなり病んでいた僕の多少の救いになってくれたのも事実だ。すごく感謝している。

 

だから、ビジネス君には幸せに暮らして欲しい。こんな理不尽や不条理にまみれた世の中で、さらに辛いと言われる銀行業界で、どうか潰されること無く、病むことなく、生き残って欲しい。

そんな彼に、一言だけ言いたいのは、他人の悪口をいう事も、たまには大事だという事だ。たまには吐き出さないと、ダメになるぞ。ほどほどに、ガスを抜きながら、健康に生きて欲しい。

そして、自己啓発が、もし彼の心の救いになるなら、それで良いと思う。たまにやる気を出させてくれたりする自己啓発本なら、それは十分に価値があると思う。もしかしたら、自己啓発の意味は、そこにあるのかもしれないから…。

 

だが、やはり、ビジネス君。キミの「悪口を言うと運気が逃げる」とか「思考は現実化する」という考えは、やはりキモイww。

 良い人ぶっているだけではないか。実際、君は就職してから、事務の女の人の愚痴を言っていたではないか。ほら、やっぱり。自己啓発なんて意味ないでしょ?

その時、僕はビジネス君の思考の浅はかさを知った。別に嫌いではないし、君と話した時は楽しかった。

 

だが、思考は現実化しない。これだけである。

 

 

naocchi3.hatenablog.com

[ぼっちですが何か?]は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。