ニートの平日

地方国立大卒ニートの生活記録。「え、ニートに平日も休日もないだろ....」という下らない日記です。

映画『すばらしき世界』残酷で糞みたいな世の中で、誰かから優しさを得られるなら、それは「すばらしき世界」かもしれない。

こんちは、なおっちです。

社畜から無職に逆戻りしたロックンロール。働けと言うなら、俺に仕事を持ってこい!

 


映画『すばらしき世界』本予告 2021年2月11日(木・祝)公開

 

先日、西川美和監督の『すばらしき世界』を観てきました。僕は西川さんの作品が好きです。全てではないですが、「永い言い訳」「ゆれる」「夢売る二人」「ディアドクター」は見ました。詳しくはこちらに書きました。

 

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原作はコチラです。

身分帳 (講談社文庫)

身分帳 (講談社文庫)

  • 作者:佐木 隆三
  • 発売日: 2020/07/15
  • メディア: 文庫
 

 

『すばらしき世界』の意味は2つあります。1つは「この世界は本当に素晴らしいか?」という疑問です。

その答えは、NOです。世の中は、そもそもが糞です。もし素晴らしいと言うなら嘘です。世の中は基本的に目を覆いたくなる現実に満ちています。日本に居たって、資本主義社会会社で消耗するし、学校だってよく分からない奴等が適当なルールで以て支配しています。世の中は素晴らしいと言うなら、その人は一部の成功者か、お花畑のバカです。

 

映画の中でも、それを表現するのに多くの時間を費やしています。役所広司扮する元ヤクザの主人公三上は、糞みたいな世の中の洗礼を受けます。まず彼が刑務所に収監されたのは、向かってきた相手から身を守るためです。正当防衛は認められず、実刑判決を受けます。

刑務所を出た後も、三上を待ち受ける現実は厳しいです。犯罪者という過去が付きまといます。生活保護の申請に市役所に行っても、職員は反社の三上を拒否しようとします。スーパーでは根拠もなく万びきを疑われ、世の中にうるさい隣人に注意をしたら逆に怒られたり、どうも正義とは逆の方へ彼は流されていきます。

この辺に、この現実社会への疑問が現れます。「この世界は果たして素晴らしいのか?」と。三上のような真っ直ぐで曲がった事が嫌いな人間が、社会に包摂されず排除される世の中が、正しく機能していると言えるのか?答えは言うまでもないですね。

 

確かに、世の中まっすぐだけでは生きられません。時に曲がりながら衝突を回避するのが大人になるということです。しかし、正義の本質を実行しようとする人間を排除する社会は、どう考えても間違っています。

 

三上という男は、『鬼滅の刃』の煉獄さんに似ています。曲がった事が出来なくて、自分の中に生き方を求めるのは、煉獄杏寿郎を思い起こさせますねぇ...。

 

また、鬼滅風に言うと、三上は鬼にも似ていますね。身を守るためやむを得ず罪を犯し、その後に救いが無いなら、そりゃ鬼になって世の中に復讐したくもなりますよね。でも、そこを踏みとどまり、自分の生き方を貫くのは、やはり煉獄風である、と。鬼の中だと猗窩座(あかざ)に当たるかも...。

 

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そこにテレビマンと作家の男が近づいてきます。テレビマンは三上のネタが使えると計画を立てますが、三上が使えないと判断すると、さっさと手を切ります。要は利益にならないことはしないという資本主義社会では当たり前のことですが、それ故に世の中は救いが無いわけです。三上のような元犯罪者は、そのような資本主義の競争社会では、踏み台やネタにされるだけです。全ては資本家の利益の為、と言わんばかりのクソ社会です。そもそも、世の中がクソな理由はここにもあるんです。

 

「すばらしき世界」のもう1つの意味は、「そもそもクソな社会で誰かから優しさを得られたなら、それは素晴らしい世界である」ということです。そもそも人々は利益の為にしか動かない世の中で、自分の利益にならなくても優しさをくれる人が居たなら、それはすばらしき世界なのでしょう。本作にも何人か、そのような人間が現れます。三上は彼らに救われます。本作の主張はここにあります(多分)。身元引受人、市役所の職員、スーパーの店員、作家の男などなど、三上を助けようとする人間がいることで、救いを提示しています。この救いは、現実社会への提言とも受け取れます。

 

 脇役が素晴らしいんだなぁ...。橋爪功北村有起哉、仲野太賀、六角精児などなど..。脇が素晴らしくないと、この映画は出来なかったぞ。長澤まさみはちょっとしか出なかったけど、あんまり乗り気じゃ無かったのかな?

 

最近のヒット映画にも似た要素を見出せます。「パラサイト」「万引き家族」「ジョーカー」などなど、底辺から、クソみたいな世の中で、どのように生きるか?を表現した作品が多くなりました。おそらく本作が最もリアリティを持って、それを伝えています。本作は西川監督の前作のどれより、より鋭く現実社会に疑問を投げかけているのですよ。

 

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