読書感想「上級国民・下級国民」 致命的な分断は無いようで、やはり存在する。。
こんちわ。なおっちです。
隔週マガジンの「一人生活」(noteとこちらのブログで書いています)で書いたんですが、橘玲氏の「上級国民・下級国民」の感想をコチラでも個別に残しておきます。良書すぎるので皆さんも読んでみて下さい。
なお、コチラでは気になった所をそのまま引用して、それについて感想を書く感じにしてあります....。
オランダでは「フルタイム」と「パートタイム」は勤務時間が異なるだけでまったく平等な労働者ですが、日本では「正規」と「非正規」は身分のちがいで、「非正規に落ちる」とか「正社員に上がる」という言葉がごくふつうに使われます。正社員との収入格差でも、社宅や家族手当などの福利厚生でも、雇用の保証でも、日本の「非正規」は先進国ではあり得ないような劣悪な労働条件を課せられます。
「同じ仕事をすれば身分や性別、人種などのちがいにかかわらず同じ賃金が支払われる」というのはリベラルな社会の大前提ですが、「リベラル」を自称する日本の労働組合はこれまで同一労働同一賃金に頑固に反対し、「日本には日本人に合った働き方がある(外国のことなど関係ない)として「同一価値労働同一賃金」を唱えてきました。排外主義(ネトウヨ)と見まがうようなこの奇怪な論理では、「正社員と非正社員は同じ仕事をしていても労働の「価値」が異なるから、待遇が違うのは当然だ」とされます。
これは要するに、正社員と非正社員は「身分」がちがい、人間としての「価値」がちがうということでしょう。ところがリベラルな知識人はこのグロテスクな論理を批判しないばかりか、保守派とともに「日本的雇用を守れ」と大合唱し、非正規への身分差別を容認してきたのです。
マスコミも含め日本の企業や官庁、労働組合などを支配しているのは「日本人、男性、中高年、有名大学卒、正社員」という属性を持つ、”おっさん”で、彼らが日本社会の正規メンバーです。そんな”おっさん”の生活(正社員共同体としての会社)を守るためには、「外国人、女性、若者、非大卒、非正規」のようなマイノリティ(下級国民)の権利などどうなってもいいのです。
日本の労働環境を例に、「上級、下級」の問題を説明している部分です。いわく、日本では正規、非正規の違いは大きく、そのうえ非正規は過酷な労働を強いられていると書いてあります...。なるほど...。ゆえに上級と下級で差が大きくなってしまう訳ですね。
確かに、非正規の人でも、かなり大変な仕事をしている人は見ますよね。コンビニとか、スーパーとかのバイトとか、これかなり辛いよね、というのを生で見たこともあります。それが世界的に見ると、なかなか日本は珍しいというのは初めて知りました。
そんで、「リベラル」である労働組合が、同一労働の場合の非正規と正規の格差を是正しようとせず、逆に正社員の身分を守っていた、というのは闇が深いですね。やはり、右左とわず、人というのは「自分たちの利益を守る」ために活動するものなんですね。確かに、非正規の人たちが正規と同じ待遇になられては、「正社員」の人たちは困る訳ですね....。
さらに、日本では解雇規制が厳しいので、正社員はクビになりにくいので、余計に正社員は守られ、上級の人は余計に既得権を得てしまう、とも言えますよね...。
そんで、今年の4月から法律が変わり「同一労働同一賃金」になるようですが、これを自民党がやっているという....。リベラル政党とかは、せめてちゃんとしようよ、と僕が思っています。
ちなみに、海外では非正規労働者の方が、不安定なぶん賃金が高いのが一般的なようですね...。「使いたい時に使えるメリットを提供している」という点から、不安定雇用手当、というのがあるようです...。
正社員が解雇規制で守られているなら、なおさら、非正規手当は妥当だとも思いますけどね...。だって、必要な時にフレキシブルな労働力が得られるんすよ。それって、価値として高いじゃないですか。
男が「階級」を過剰に気にするのは、それが「モテ」に直結するからです。
あらゆる調査が明らかにしているように、女がモテる最大の要素は「若さ」で、男の場合は「カネと権力」すなわち共同体内での地位です。
そのため多くの男は、グループ内での自分を目立たせるはげしい競争をするように進化してきました。自分の資質や資源を誇示できない男は、どれほど「いいひと」でも女性から性愛の対象とは見なされないのです。
この前に、男が女よりも、一般的に幸福度が低いことを記していて、この部分ではその理由を述べています。
男って、凄く階級とか、自分の年収とか資産とか、周りよりも良いクルマに乗る事とか、そんな事を気にするじゃないですか。それって、要は集団内で自分の存在を誇示するためなんですよね..。
女の人は「共感」や「協調」でまだ幸福を得られる一方、男は共同体内でトップにならないと幸福を感じられないという、男たるゆえに辛いという訳です...。
この後に、男は持つ人と持たない人で、ヒエラルキーがよりハッキリしてくるから、幸福を感じにくく、また関係も築きにくくなると書いています。
ヤクザとか暴走族とか、あるいは会社だって、男同士の階級社会じゃないですか。その中だと、幸福を感じられるのは、あまり多くないですよね、よいう事です....。
やはり、僕が想像しているよりも遥かに深刻な「上級・下級」が存在していると、本書を読んで思いました。
日本の労働問題について書いてある所を引用しましたが、やはりおかしい所は変えて、理不尽に上と下に分断されている所を直さないといけないですよね。。。
ここで引用したのはごく一部です。本書にはまだまだ、面白いことがいっぱい書いてあります。中でも、最後の章で、世界的な上級と下級の分断について書いている部分は、本当に面白いです。現代社会、特に先進国で分断が進んでいることが、よく分かると思います。
日本でも、そのうち凄まじい分断が待っているのかも。でも、それはもう既に現れているかもしれませんね。「無敵の人」とか、「キモくて金のないおっさん」とか、既に多くいて、それがさらに深刻になるのかとなると、日本はヤバいかもしれませんねぇ...。